EDENERー《楽園》に住まう者たちー
Caries10
Prologue
「《エデン》は楽園の名に相応しい星だ。私たちが訪れる前から、私たちが何か手を施すよりも前から、《エデン》には私たちが生きるのに必要な水・大気・陸地・食料・資源がすべて揃っていた。おまけにこの惑星には、火や冷気を吹くドラゴンや、自らの意志で動く植物など、未知の進化を遂げた生命にも満ち溢れている。正に《エデン》は生命の楽園であり、もしも
これは2378年1月20日、UGE・地球連合政府の最高事務総長アダムズ・エバーランドが、とあるテレビ番組のインタビューで語った言葉を抜粋したものである。この日は、惑星《エデン》の入植開始からちょうど1カ月を迎えた日であった。
23世紀、宇宙開発技術を急速に発展させた人類は、UGEの指導の下で地球を飛び出し、宇宙空間へとその居住域を広げた。人類は、
地球から約400万光年離れたこの惑星《エデン》も、そんな植民星の一つだ。ここは地球人類が足を踏み入れる前から、大気や海などの自然環境が存在し、動植物の存在も既に確認されていた。空飛ぶ島やドラゴンの存在など、地球とは異なる、まるでファンタジー世界のような様相も見せるが、《エデン》の発見当初、人々は地球の環境に酷似したこの惑星を「第二の地球の発見だ」と大きく騒ぎ立てたという。《エデン》発見から十年後の2367年8月5日に第1回実地調査が開始されて以来、《エデン》のアスレイア大陸で都市インフラの開発が急ピッチで進み、更にその十年後の2377年12月20日には、一般人の《エデン》入植が正式に開始された。
かつて青々とした森林だった場所には高層ビルが立ち並び、ドラゴンが自由に飛び交っていた空には今、幾つもの植民星から宇宙船が貿易や人員輸送のために飛来してくる。天然資源や肥沃な農耕地に満ち溢れ、他の植民星よりも衣食住が充実した環境である《エデン》に、永住を決意する人々が今でも枚挙にいとまがない。2388年5月現在、《エデン》の総人口は5億人と報告され、これからも更なる入植によって益々発展していくものと見られている――
私たちは、この惑星で永遠の富と、平和と、繁栄を手に入れた。
私たちは、この楽園での幸せな生涯を約束された、選ばれし存在である。
私たちは、この宇宙で最も高等な文明と思想を持つ、唯一無二の生命体である。
人類は、否、もっと正確に言うなら、”地球人類”は、少なくとも2388年5月25日を迎えるまでは、そう信じて止まなかった。
それらがすべて《偽り》であるとは、この時、誰も夢にも思わなかっただろう。
すべては、一人の少年と、一体の”化け物”の出会いから始まる。
――これは、《魔法》と《絆》と、《革命》の物語。――
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