移ろう時間に僕は空を見続けた

楠木黒猫きな粉

空色と灰色

空とはなんだろうか。もちろん科学的な事を聞いているわけではない。僕にはそんな知識もない。別にそんなことを確認してもわからなければ意味はないから。さて、話を戻そう。空とはなんだろうか、目標の事だろうか。確かにそれもあるかも知れない。けれど僕は空をみてこう思う。僕は灰色なんだと思わなければいけないんだと思う。悲しいほどに、空は色を変えない。けれど人間の色は黒でもなければ白でもない灰色なんだろう。いつまでも僕は空を見続けた。


──────色の話


色の話しようか。けれどこれには少しだけ別の話を混ぜて話すことにしよう。

少しだけの壊れた記憶だ。紛れもない僕の記憶。人に諦めをつけた時の記憶。恐怖で感情を失った記憶。色々あるがその一部を話すとしようか。

あれはあれは少し前の夏の話。僕が空を見続ける理由のお話


2015年6月7日 別名 始まりの日


世界は回り始めた。壊れた様に全てを殺すため回り始めた。

変わりだした世界に人は恐怖をした。今までの自らの所業を棚にあげて、恐怖に震えた。


2015年6月24日 別名 知る日


人は恐怖を殺すために考えを巡らせる。止めることは出来ないだろうが送らせることは出来るのではないのかと。

しかし、まるで考えは思い付かない。理由は簡単だ。何が原因かわからないからだ。知らない物を止めることなんてできるわけがない。人は早々に諦めをつけた。


2015年7月4日 別名 仮定の日


ある人物は考え付いた。なぜ、まだ人間が死んでいないのか。他の生物は次々と絶滅しているのにどうして人間だけ生き残っているのか。そしてそれを聞いた者は人間には意味をなさない何か何じゃないかと考えた。もちろんそんなものは都合の良い幻想だ。しかし人はそんな幻想にすがり付いた。無いものを信じ続けた。


2015年9月9日 別名 消えた日


人々はすがり付いた幻想を捨てた。そして存在しない傍観者に願った。いつか、この地獄が終わるように、と。

その日、60歳以上の人間がこの世界から消えた。


2015年12月24日 別名 クリスマス


人々は遂にこの地獄に慣れた。そして、いつかの平和に戻り始めた。

その日、世界にあるプレゼントが贈られた。『神』というなのある種の結末をプレゼントした。


2016年2月20日 別名 決別の日


神は人を手放した。しかし、人は気づきはしなかった。神が少しだけ遅くしている事に気付きはしない。

だから神は怒った。自分の頑張りを認めない人間に怒った。それが結末の始まりだった。


2016年4月10日 別名 空の日


人は消えた。終わりは呆気なかった。神が押し止めていた物が消えたのだ。結末は濁流の様に素早く訪れた。

そして、この世界に初めて空が見えた。常に雲に隠されていた空が見えた。


2016年8月10日 別名 結末の日 

時刻1時30分


世界から全ての生き物が消えた。暑い暑い真夏の日に世界はまた結末を迎えた。そして、何処かの世界はこの世界の巻き添えをくらったのだろう。それとも此方が巻き添えをくらったのだろうか。しかし、それでも何処かの世界は機能を止めた。その世界には涙を流した結末があった。そして笑顔で迎えた結末があった。しかし、この世界は呆れたまま迎えた結末だった。


───────空の色と繋がり


さて、この話をしている物が誰かと思っただろう?しかし、それは簡単だ。僕は時を刻む物だ。それ以外には機能はない。だから常に空を見続ける。何かを見つけるために、いつか訪れる消える時まで僕は時を刻み空を見続ける。

それが、僕が求める物語だから。

さぁ、もう一度話そうか。

─────空色と灰色のお話を。

─────結末を獲られるその日まで

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移ろう時間に僕は空を見続けた 楠木黒猫きな粉 @sepuroeleven

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