7.5・破  作者「作るのめっちゃ疲れた…」

「いいなさい………ファスト……♪」

「あの、アルさん?なんで笑ってるの?そしてなんで表情が笑い顔のままピクリとも動かないの…?」

オペラ座の怪人のマスクのような顔で近づいてくるアル。

満面の笑みが逆に怖いよ!

「ファ・ス・ト?言いなさい?」

うわ、こりゃ「やだ」って言ったら確実にバルられる(注・バルスで殺られるの意)パターンだわ。

でも、まだ知られるわけにはいかない。

あの事だけは、

そうしないと、俺が悶え死ぬことになる。

「言わないんだね……。なら、仕方がないか………。」

と、突然アルが真顔になった。

「ファストが向こうのほうが好きなら、僕は身を引くよ……。」

「え?」

なんかものすごく勘違いされているのでは?と思う俺をよそに、

「じゃあね、ファスト。………お幸せにね。」

アルは荷物をまとめはじめた。

まさか。……出ていこうとしてるのか?

「まてよ!」

慌てて止めようとしてみるが、

「気を遣わないでくれていいよ。ファストが好きなのは僕じゃないんだもん。」

アルは聞く耳を持たず、せっせと荷造りを続ける。

「僕はファストが好きだけど、ファストが僕を好きじゃないなら意味ないもん。」

このばか、完全に勘違いしてやがる。

どうしてそうなるんだよ。

俺が今までそんなそぶりを一度でも見せたか?

むしろ逆だろう。

というか、逆だよ!

……自分で言ってて恥ずかしくなってきた。

などと考えている間にも、アルは荷造りを終え、ドアに向かっていく。

「まってくれ!」

俺はアルの手をつかんだ。

アルが驚いた顔でこちらを見あげる。

が、すぐにうつむき、くびをよこにふる。

そして俺の手を振り払い、ドアに手をかけて――――







「お前の、ための、指輪を、買ったんだ!」







―――――俺の言葉で、硬直した。

ああくそ。まだ言わないつもりだったのになあ。という若干の後悔はすぐに「言ってしまった」ことで出たアドレナリンで覆いつくされる。

…………ああそうだよ。

俺は、汗水たらして働いた金で、アルに送るエンゲージリングを買ったんだよ!

何か問題でもあるか!?

否。無い。

ならば言ったって問題ない!

謎の興奮状態に陥った俺に対し、アルは一言。





「……はい。」





それは短い言葉。本当に短くて、――――そして、俺の一番深いところを貫いた。

え?いいの?という思いが頭の中でリピートされる。

心臓が早鐘を打つ。

脈拍が偉いことになってるのが分かる。

音ゲーで言ったらBPM360(適当です)くらいだろう。

やばいですねえ。

MaiMaiで言ったらEX譜面レベル。

マジで本当にいいの俺なんかで。

俺、元ニートよ?しかも「才能ナシ」よ?

そんな俺が、このゴミが、こんないい子をもらっちゃって

「いいの………か………?」

無言でコクコクとうなずくアル。

え……?まじで……?







           \キタ━━━━━━━━━!!! /    / :::::::ヽ___

  ━でお待ち下さ\  \●ノ\●ノ   /  丿  ::.__  .:::::::::::::

      ∧_∧( \へ■   ▼へ /  /  /。 ヽ_ヽv /:

 ち下さい(  ゚∀゚)  \  > <  / /  / ̄ ̄√___丶

  ∧_∧( つ  つ   \∧∧∧/━━  | .::::::::::  / / tーーー|ヽ

 (  ゚∀゚)そのままキタ━< 激 >   | .:::::.  ..: |    |

 ( つ  つ       <  し >     | :::    | |⊂ニヽ|

 そのままキタ━でお待ち  <  く  >   / /| :  | |  |:::T::::|

  ──────────< キ >──────────

  キタ━━━━(゚∀゚)━━ < タ  >    ┏┓    ┏━━┓

   キタ━━━━(゚∀゚)━━ < │ >┏━┛┗━┓┃┏┓

キタ━(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚) < !!!! >┗━┓┏━┛┃┗┛┃┏

    キタ━━━━━(゚∀゚)━/∨∨∨∨\ ┛┗━┓┃┏┓┃┃

   キタ━━━━━(゚∀゚)/ _∧   ∧ \ ┏━┛┗┛┃┃┗

キタ━(゚∀゚)(゚∀゚)(/( ゚ ∀゚ )━ ( ゚ ∀゚\         ┃┃

      キタ━━━━━(/━∪━━∪━∪━━∪\      ┗┛

      キタ━━━━ /┃ しばし  キタ━━(゚∀゚)━!!!\


(この作品はパソコン、横読みでお読みください。)


軽い精神崩壊に見舞われる俺。

「…というかそもそも行きつくとこまで行っちゃてるしゴニョゴニョ……。」

アルがなんかゴニョゴニョ言ってるが、現在、普段のような冷静さを失っている俺の耳はそれを言葉として捉えられない。なんて言ってるんだ、アルは。

「な、なんでもないっ!」

そうか、なんでもないのか!ならよかった!

「やったあ…。やったあ…。」

もはや口からはその言葉しか出ない。

だって、あれだぜ?

こんなかわいくて気が利く娘が、俺のことを想ってくれてるんだぜ?

これに気が狂わずしてなんとしやしょうか。

あwせdrftgyふじこlp。

失礼。狂いすぎた。

「………よろしく……お願いします…///」

かわえええ!!!!!!!

はにかむ姿かわえええええええ!!!!!!

あれ?アルってこんなにかわいい生き物だったっけ!?

やばいですねえ。なんか文もどんどん崩壊してきてるし。

「よろしくな、アル。」

ああもうなんで俺はこういうところで気の利いた一言が言えねえんだよ。

と、アルが

「あwせdrftgyふじこlp…………ふにゃあ。」

と同時、ばったーんと音を立てて床に倒れる。

「ブルータス!」

お前も狂ってたんかい!

と軽くツッコミつつ、俺はアルをベットに寝かせたのだった。

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