北門
さてさて、やっと着いた北門!
きっと他のプレイヤーは転移して来てるだろうから門には行列が出来てると思っていたんだけど、何故か閑散としていた。
不思議に思ったけど、とりあえず門を抜けることにする。そして抜けた先もプレイヤーの姿は見当たらなかった。とりあえず翼の魔力付与が切れたからもう一度魔力付与しておこう。
何故プレイヤーがいないのかは分からないが、これは絶好の機会である。狩り放題だ!
……と思っていた時期が僕にもありました。
攻撃が全く通らない、むしろダメージを受ける始末である。雑魚エネミーに分類されてるからどんどん湧いてくるし。
とりあえず一旦離れて姿勢を正す。
【条件を満たしました】
【スキル 武術 を取得】
スキルが手に入ったけど後回しだ。
とりあえず今は目の前の敵に集中しよう。
敵の数は全部で12体である。黒色のスライムが3体、白い狼が4匹、人形のゴーレムが5体だ。ゴーレムは剣と盾を装備している、僕より豪華な装備だな。
まずゴーレムの懐に入り殴る。ゴーレムはビクともしないが僕のHPが3減った……なんなの? これ。
狼とスライムが攻撃してくるが、流れるように回避。他のゴーレムも攻撃をしてくるがこれも回避。避ける時に狼が飛び掛ってきたから、避けながら狼に裏拳を叩き込み軌道修正する。HPは2減ったが狼はゴーレムの攻撃に当たって2割ほど削れていた。……割に合わない。
【条件を満たしました】
【スキル 集中を取得】
狼のHPを確認してすぐに、スライムが上から降ってきた。何かしらのスキルなんだろう、避けようとするとスライムが巨大化してきた。MOBにもスキルや魔法が設定されてるみたいだ。
「チッ!!」
大きく転んでスライムの攻撃を躱すと、そこには剣を振りかざすゴーレムの姿があった。
ガンッ!!
咄嗟に魔力付与MP3を足にして、下からゴーレムの剣目掛けて蹴り上げた。
僕のHPは1減ったが、ゴーレムの持っていた剣は虚空を描き地面に刺さる。……これはチャンスじゃあないだろうか?
僕は地面に刺さった剣を抜くと、そのまま向かってきた狼に一閃!
狼は横に吹き飛ばされHPの1割が削れる、僕のHPは減っていない。
やっと勝機が見えてきた。僕はそのまま襲ってきた他の狼3匹をすれ違いざまに剣で切っていく。ちょっと足が軽くなった気もする。
同時に襲ってきたスライム達とゴーレムは紙一重で回避する。ゴーレムの攻撃はスライムの1体に当たり、地面にベチャッと黒い水溜りが作られる。そのスライムのHPは半分近くまで減っていたが、動く気配がない。
ゴーレムや狼とスライムの全員がにじり寄ってくるが、水溜りになって動かないスライムを避けているようだ。
始めに狼が来て、その次にゴーレムが剣を振りかぶる。剣を持たないゴーレムはスライムを持って投げてきた。
狼を剣の腹で叩き超特急で迫るスライムの前に合わせ、他の狼をゴーレムの振り下ろした剣に当たるように捌いていく。
スライムと強制衝突した狼のHPは残り2割くらいだ、なおスライムのHPは3割減ったようだ。
他の狼は3匹とも残り6割ほどにまで減った。
狼達が吹き飛ばされるのを後目にスライムを投げていたゴーレムへ走り出す。
飛んできたスライムを避けてゴーレムに一太刀浴びせると、そのまま頭部に回し蹴りをする。僕のHPが1減るが、ゴーレムはよろめいて後ろに重心が傾く。そこに剣で攻撃して水溜りになったスライムの所へと落とす。
近くにいたスライムの攻撃を避けながら見てみると、黒い水溜りから馬鹿でかい針のような物が何本も出来て落ちたゴーレムを串刺しにした。
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【魔法・技の製作が可能になりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【固有スキル''守護''を取得しました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
ゴーレムが光になって消える。水溜りだったスライムは元の形に戻り、こっちに向かってくる。やっぱり罠だったか。
狼達と残りのゴーレムも近くまで来ていた。そして狼の数が1匹増えていた。.........マジかよ。
そしてこのタイミングで翼の魔力付与が切れて大きくなる。
狼の連携を崩すように剣を振り、ゴーレムの攻撃を避ける。羽根をスライムに飛ばすが意味をなさなかった。向かってくるスライムと狼をすれ違いざまに切りながら、ゴーレムの振り下ろした剣を避ける。
4体のゴーレムが振り下ろした剣がスライムと3匹の狼に当たり、スライムがまた黒い水溜りになった。そこに振り下ろしたままのゴーレムに攻撃して水溜りに落とす。
【条件を満たしました】
【スキル 集中が 超集中に進化しました】
【天族のレベルが上がりました】
【天族のレベルが上がりました】
構ってられない。
残り1割になっている狼を切り光に変える。
【天族のレベルが上がりました】
向かってくる狼を捌きつつ、水溜りから戻ったスライムに剣を振り下ろす。
【天族のレベルが上がりました】
足の魔力付与が切れるが構わずに狼へ向かっていく。
妨害するように攻撃してくるスライムを連続で切り水溜りに変える。そのまま狼を切っていき、リポップした狼を水溜りに落とす。スライムはHPが5割以下になるとこの形態になるみたいだ。
【天族のレベルが上がりました】
【固有スキル''慈愛''を取得しました】
狼があと3匹、HPがどれも1割ほどだ。
スライムが2体、HPは3割と4割くらいだ。
ゴーレムが3体、HPはほぼMAXだ。
とここでまた新しいスライムが1体こっちに来た……いい加減にしてくれ。
ゴーレムの攻撃を避けると、向かってくる狼を切りつける。
光になった狼を見ずに、切りつけた勢いでゴーレムの腕に向けて剣を振り上げる。ゴーレムが剣を落とすと続けざまにもう片方の腕も切りつける。ゴーレムは腕を深く切られ盾を落とした。
他のゴーレム2体の攻撃を躱して狼を切りつける。その瞬間奪っていた剣が壊れた。
【天族のレベルが上がりました】
ナイスタイミング。ゴーレムから剣と盾を落として正解だった。
落ちた盾を拾いスライムに投げつけた。
盾はスライムを光に変え、他のスライムを巻き込んでいった。
残り1匹となった狼を拾った剣で切りつける。
【天族のレベルが上がりました】
ゴーレムの攻撃を躱して切りつける。削れるのは1割ほどだ。
巨大化してきたスライムにゴーレムを誘導し、スライム諸共切りつける。
光になったスライムと合計3割程削れているゴーレムを後目に、最後のスライムをゴーレムの元へ誘導していく。
水溜りにしたスライムにゴーレムを落として残りゴーレムが2体になる、1体は剣と盾を失っているやつだ。
【天族のレベルが上がりました】
武器の持っていない方を集中的に攻撃して光に変える。ここでスライムが1体新しくこっちに向かってきた。
逸る気持ちを抑えてスライムを水溜りに変えてゴーレムを落とす。
ゴーレムが串刺しになっている間に投げた盾を拾いもう一体のスライムに投げつけ光に変える。
【天族のレベルが上がりました】
水溜りから戻ったスライムを数回切ると、瞬く間に光に変わった。
戦闘終了である。
......疲れた。本当にもう疲れた、なんで初戦闘がこれなんだ。エネミーが硬かったから敵の攻撃も多分半端ないんだろうし、全回避しないとやばそうだし。
これは敷居が高いな、そりゃ他の所に行くはずだわ。狩り放題? いやいやむしろ狩られるほうです。
といっても1人もプレイヤーが居ないってのは分からないな。人は選ぶけど、パーティ組んで標的を増やして回避しながら攻撃したらまだ行けそうだけど。
買える剣だと攻撃が通らないのか、敵の武器を奪うまでが問題なのか……敵の攻撃が当たれば一撃で沈むとするとコスパは悪いよな。
なにか引っかかるけどそれでいいや。とりあえず目につかない岩の後ろ近くに移動してステータスを確認しよう。
名前] [納税の]ソウ 状態:疲労
性別] 男
種族] 天族Lv.24
職業] 村人Lv.2
装備] 服 下服 靴 自動人形オートマトンの剣
所持金] 27037G
HP] 4/243 MP] 3/117
SP] 125
固有スキル] 天翔 守護 慈愛
スキル] 納税Lv.2 魔力付与Lv.2 武術Lv.4 超集中Lv.2
魔法] 魔力玉
オリジナル] 無し
ふむ、凄いレベルが上がったな。レベルが上がりやすい……わけないか。
しかし最大体力が増えるとHP4がとても少なく思えるのは何故だろう。……いや実際少ないのか。
SPも増えているけど、これはスキルを確認してからだな。これは魔法や技を製作する時と新しく取得する時に使うものだ。事前情報では種族レベルが上がると魔法と技の製作が解禁されるということだったから、解禁するまでは使わないでおいた。
早くやってみたいが先にスキルの確認だな。
固有スキル] 守護
天族の固有スキル。不可視の結界を張る。モーション必須。
消費MP10〜
これまた説明不足なスキルを……。
とりあえずMPが足らないから検証はまた今度だな。
固有スキル] 慈愛
天族の固有スキル。対象の能力値をランダムに上げる。自身は対象外。
消費MP40~
結構消費MP高いな、これからのことを考えるとそうでもないのか。
そして『対象の能力値を上げる』ってSTRとかだろうか。表示されてないんだけど……そもそも存在するのか。
これもMPが足らないから検証はまた今度なんだけど、自分には対象出来ないみたいだからもっと先になるのかな。
納税と魔力付与は説明文は変わらなかったから次は武術だな。
スキル] 武術Lv.4
パッシブスキル。
近接攻撃をした場合の威力が4%上昇。
分かりやすいな。よし次行こう。
スキル] 超集中Lv.2
極限まで集中している時のみ発動。
魔力付与MP4と同等の強化が身体に施される。
これもまた分かりやすい。でもこれ魔力付与を持ってない人は理解できるのだろうか、もしかすると全員が魔力付与を持っているのか。
まぁでも理解はした。次は待ちに待った魔法と技の生成だ。僕は新しく追加された魔法/技製作というページを開く。
魔法の製作にはまず最初に[魔法製作]と書いてるボタンを押し、作る魔法をイメージしながら名前と内容と効果を口頭で説明する。
その後に威力を決め、消費MPを定める。これもまた口に出して言わないといけない。
条件として既存の魔法は製作できない。これは内容と効果が既存のものと被れば、その時点で製作失敗となる。あと内容に矛盾があれば失敗となる。
名前がウォーターボールなのに火の玉がでたりすると、名前と内容に矛盾が生じて失敗になる。
名前がウォーターボールで水の玉が出るが、当たると火の手が上がるとかも無理である。ただその場合には矛盾を覆す内容を説明出来れば、相応のコストで製作は可能だ。
また作る魔法の内容とその威力が両立出来ないとAIが判断した場合、製作失敗となる。
例えば超巨大な隕石を落とす魔法を作るとして、威力が5だったりなど内容と威力が明らかに合わないと製作失敗になるのだ。
そして内容や威力に消費MPが見合わないと、これもまた製作失敗になる。
超巨大な隕石がMP1で落とされたら溜まったものじゃない。
そして全てを突破するとSPを使い製作が可能となる。また消費SPは製作する魔法によって変わり、AIがそれを判断する。
技の製作は[技製作]と書いているボタンを押し、イメージした技の内容をその身体を持って実演をする。実演出来なかったら製作失敗となり、出来たのなら矛盾のない名前を決めると消費SP0で製作可能になる。
その時に威力と消費MPが自動で割り振られるが、その後に手動で威力や消費MPを変えることかできる。そして手動で動かせる数値は作る技によって変わる。
威力を上げたり消費MPを少なくすると消費SPが増えていき、逆に威力を下げたり消費MPを多くすると消費SPが減っていく。また消費SPと消費MPは0より下がることは無い。
それに加え消費SPを増やすことによって、オプションを追加する事が出来る。
ここでいうオプションとは『剣で切りつけると桜が舞い散る』など見た目を変えることや、『剣に火を纏わせる』とかそういった類である。
また実演時に剣に火を纏わせていたのならそれに対する消費SPは0で済み、技に反映される。
よし、とりあえず技を製作していこう。
さっそく技製作のボタンを押し、僕は岩に向かうように位置取り剣を構えた。
「我流・一太刀」
本来は刀でするのだが別に剣でも構わないだろう。
剣を右上まで振りかぶり、踏み込みで空気を斬るように剣を左に振り下ろす。
我流・一太刀
説明文を入力してください。
威力55~105 消費MP0
説明文は自分で作れるのか。
威力は+-15ずつ変えれるみたいだ。55〜105っていうのは、技を使う時にあるシステムの補正具合で変わるみたいである。
技を使うと身体が自動で動いてくれるのだが、それに任せずに自分で動くことによって補正を減らすことが出来る。補正が完全に無くなると威力は最大になるということだな。
我流・一太刀
連携にも使えるただの1振り。やや大振りなため注意が必要。
威力55~105 消費MP0
オプションも付けずにそのままにしておいた。
とりあえずもう一つ技を作っておこう。
もう一度剣を構えると静かに息を整える。
「我流連斬」
半歩踏み出しながら剣を3度振るい、重心を変えて少し斜めに剣を振り上げる。そのまま勢いを殺さずに回転して一閃。
我流連斬
対象目掛けて連続で斬り最後に重い一撃を出す。技の時間や見切りに注意。
威力70~145 消費MP0
こんな感じでいいか。
【条件を満たしました】
【我流連斬が皇翼剣・天翔に派生できます。
派生しますか。 Yes/No】
まじか...作った技も派生できるのか。
派生先の技の内容が頭に浮かぶ、どんな技に派生するのかは分かるみたいだ。
浮かんだ内容から有りだと決めYesを選択。
【我流連斬が皇翼剣・天翔に派生しました】
しかし、作った技でも派生が可能って自由度高いな。
よしそれじゃあ魔法の方もやっていく……か。
バチバチバチッ--ドンッ!
辺りに紫電がはしった瞬間に大きな音が鳴り、何かが高速で岩を横切る。
岩を挟んだ向こうにいるソレは雷を纏い……ただ佇んでいた。
ソレは巨大な狼であった。白い身体に黒の線がはしってカッコいいのだが、出来れば目の前ではなく遠いところから観たかったものだ。
そして岩を挟んでもまだ余裕で見えるその巨狼と……目が合ってしまった。
ついさっきの違和感の正体がこの狼だとすぐにわかった。敵という証明の赤いマーカーと共に書いてあったのはアクティブボスという文字。
ちょっとまって僕のHPいま4なんだけど......。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます