第2話姫、拉致られる?!

「…。」


『お前にバイトしてもらうかんな』さっき、この怖そうなお兄さんに無理矢理おうちに連れてこられた。


玄関には、お兄さんの汚れた靴以外無かったから、家族はお出掛けしてるのかも知れない…


「こっちだ」階段を昇るお兄さんの後をついてくと、突き当たりのドアが開いて、中に入れられた。


クンッ…


『うへぇ。タバコの匂いだ。臭い…』うちは、パパが居ないし、ママもタバコは吸わないから、おうちの匂いはきれい。


カチャッ…パタンッ…


クローゼットが開いて、お兄さんは汚れた服を脱いで、新しいのを着ていた。下のズボンも汚れたらしい。


『うっ…ううっ…怖いよぉ…』


姫、あれからもいっぱい謝ったのに、お兄さん許してもくれないし、口を開いてもくれなかった。


「あ、やっべ。今日、親父いねーんだったわ」

「…。」


お兄さんは、ベッドに腰かけて、私を見てた。


「あんた、名前は?」

「えっと…市川姫香。」

「いくつ?」

「10歳。来月11になるけど」何故か、取り調べみたいに聞かれて、足に力が入らなくて、床にぺたんこ座りしちゃった。


「あの…本当にごめんなさい」何度謝ったかな、覚えてないや。

「あのね、謝る位だったら、警察なんていないのよ?わかる?」


『け、警察?姫、逮捕されるの?えーん、やだよー。まだ、やりたいこととかいっぱいあるのにー』


「はぁーぁっ。あれ、おろしたての靴、だったのに!」

「ごめんなさい。」


『ふぇーん、怖くて顔あげれないよ』


「どうしようかなー?警察!に言ってもいいし。親!に言うのも悪くないなー」

「お願い。ママには言わないで。姫のこと知ったら、ママまた倒れちゃうから。お願いします!なんでもするから!」

「本当か?本当になんでもするのか?」ベッドに腰かけたお兄さんが、低い声で言って、余計に怖くなって、頷いた。


「38980円…」


???お兄さんは、いきなりなんかの数字を言った。


「あの靴!38000円もしたんだぜ。シャツは、やすかったけどな」

「…。」


『た、高すぎる。おうちのお家賃より安い?かわかんないけど。返せなかったら、姫、逮捕?!』


「金額!と返済回数!は、姫香ちゃんの奉仕で決まる。」

「はい…」

「じゃ、早速やってもらおーかなー」

「え?いま…から?」

「不満?じゃ、やっぱ警察に…」お兄さんベッドから立ち上がった。


「や、や、や、やります!!やらせて頂きます!!」覚悟は決まった!言われる通りにやって、弁償しよう。


「でも、ママお仕事から帰ってきちゃう」

「…。」


で、ママがお仕事から帰ってくるまで、私はお兄さんのお部屋を片付けたり、簡単に料理を作ってあげたんだけど…


「あの…なんで裸にエプロンなんですか?なんか、ずっと見られてる気がして…」

「男の醍醐味!とりま、んー、100円かな」

「…。」


『かなり恥ずかしい思いして、お兄さんの前で裸になって、エプロンつけて貰って、お掃除とかしたのに…100円?』


「約束…だかんな」何故か、嬉しそうに笑うお兄さん。


「はい…」なんか、納得というか、意味がわからない私。



その日は、お兄さんがおうちの近くまで送ってくれたというか…


「逃げたら、家に乗り込むからな」だった。


携帯番号も教えた…。逃げれなくなった。


こうして、姫のわけのわからない秘密なバイトが始まった。

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姫ちゃんのバイト @Hikaru_Tuki99

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