転生異界、熱烈接待。

針谷諒太

あやまり

 ――目が覚めた。


 突然、閃光が目の前に走ったかと思えば、いつの間にかここにいた。

「一体、ここはどこなんだろう―。僕は桑場仁くわばじん、だよな……?」

 先程の光とは打って変わって、ここは闇に包まれていた。自分が自分とも分からぬまま、服の埃を振り払った。


 バチンッ。


 "cuop2 aim2! nan2 cuk2 aim2 yn2?"


 光と声が、目と耳を同時に刺激する。そして疑った。その言葉も、目の前にある箱に書かれている文字も、初めてのものであったことを。

 いくら知らない地といえど、まさか少しも英語が通じないことなどあるまい。

僕は英語はあまり得意では無いが、魂に訴えかければきっと通じるはずだ。


「アイ、アム、ジャパニーズ!」


通じたのか、通じてないのか、相手は少し驚いたような顔をして走って行った。


「しまった、何か悪いことでも言ってしまったか……? どうしよう、こんなところで面倒な目には遭いたくない……。」


と、思った矢先、再び戻ってきた。少しにっこりと笑ったかと思うと、手を引っ張りこの倉庫のような埃っぽい部屋から連れ出された。


――そこは、異世界であった。

もちろん、僕には知らない地球もある。だから完全にここが異世界とも言い切れない。が、少なくとも僕にとっては異世界だった。


不安が積もり積もると共に、僕の中に眠って、腐りきっていたと思っていた好奇心が新鮮なものとなって降り注いできた。


「――ああ、すっかり僕は地球の怠惰な生活に飽き飽きしてたんだ!僕は今日から異世界人だ!」


半ば開き直りとも思える叫びで、不覚にも注目を受けてしまった。

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