閑話 コリンシアの日記
コリンシアの日記(代筆オリガ)
きょうは、フロリエとオリガといっしょに、ロベリアのまちにおでかけ。
父さまもいっしょが良かったけど、おしごとなんだって。ちょっとさみしいな。
そのかわり、ルークやリーガスのおじちゃん、ジーンお姉ちゃんがいっしょに来てくれた。みんなでおでかけうれしいな。
さいしょはしんでん。
もっと楽しいところに行きたいけど、フロリエがどうしても来たかったんだって。
ダナシアさまへのお祈りのしかたを教えてもらったけど、ちゃんとできたかしんぱい。
あとからフロリエに聞いてみたら、ちゃんとできてたって。良かった。
ダナシアさまにお祈りがすんだら、こんどはりゅうづかにお祈りするんだって。
しんでんのおくってはじめて入った。
りゅうの絵がかいてある柱に、いっぱいお花がかざってあった。
フロリエもお花をかざって、いっしょうけんめいお祈りしていたの。
コリンもいっしょにお祈りしたよ。
でも、しんでんの人たち、ずっとフロリエのこと見てた。
フロリエがきれいだからかな?
つぎはお買い物。
ジーンお姉ちゃんが、つれてきてくれたお店には、たくさんの毛糸があって、フロリエもオリガも楽しそう。
きれいなピンクの毛糸を見ていたら、フロリエがこれでコリンのショールをあんでくれるって言ってくれた。楽しみ。
ほかに、おばばさまにも父さまにもあむんだって、たくさん毛糸をえらんでいた。
オリガはルークにあむんだって。お外でまっているけど、ないしょにしててだって。
そうしたらジーンもやってみるって言って、コリンが見付けたピンクの毛糸をえらんでいたよ。
こんどはお昼ごはん。
父さまがよくくるお店なんだって。
でも、ルルーは入れてもらえなかった。
なんでって聞いたら、よその人もいるからだって。
ルルーはいい子なのに、よくわかんない。
ごはんはおいしかったけど、なんか、つまんなかった。
ごはんのあとは、すこしこうえんをお散歩して、それから次のお店に入ったの。
外国から来た小物のお店だってジーンが言ってた。
きれいな色の小鳥の絵があって、フロリエがルルーといっしょにずっと見てた。
なんの小鳥って聞いたら、まね鳥だって。
言葉を教えたらおしゃべりするんだって。ふしぎ。
フロリエはこの小鳥と、ふしぎな形をしたお花がかいてある絵を選んでいたよ。
もっとおでかけしていたかったけど、暗くなる前に帰らないといけないんだって。
父さまにもおばばさまにもおみやげをたくさん買って帰ったの。
またみんなとお出かけしたいな。こんどは父さまもいっしょだといいな。
コリンシアの日記の補足
当初の案内役はルークだけだったのだが、彼は女性好みの品を扱っている店の情報は皆無だったので、で急きょ非番の新婚夫婦が同道してくれることに。
ロベリアの正神殿は、同じ正神殿でも郊外にあるフォルビア正神殿と比べると少し規模が小さくなる。大きな違いはフォルビアでは飛竜の繁殖を担い、ロベリアでは討伐で犠牲になった飛竜や馬を弔う竜塚があるところ。
ここにフロリエを保護した折に彼女が伴っていた小竜も弔われている。
ロベリアは牧畜が盛んなため、編み物に欠かせない毛糸は安価で種類も豊富。一行が立ち寄ったのはジーンの母親から紹介してもらった裁縫用具など扱う小間物の店で、特に質のいい毛糸を扱っている。
実はこの日の経費は全て太っ腹なエドワルドが持つことになっている。それなのに真っ先に来たのが宝飾品の店ではなく、こういった小間物屋だったのは彼女達らしい選択。
ただし、フロリエは日頃の感謝も込めてエドワルドに何か編もうと考えていたため、この店の品は自分で支払っていた。
コリンシアは納得できなかったようだが、衛生上の問題でお昼はルルーを同伴できなかった。あくまで愛玩用の動物とみられていたため。
ルルーは堅苦しい店が苦手なルークと、少し離れた通りにある屋台で昼食を済ませた。
ロベリア領内には大きな港があって、大陸の東方諸国との貿易の玄関口になっている。輸入雑貨の店も多くあり、若い女性に人気。
まね鳥はオウムみたいな鳥で、大陸の南方に生息する。フロリエが買った絵に描かれた花も南方の花。
ちなみにこの時点でコリンシアは字が読めてもまだ書けない。フォルビアに帰ってからグロリアにお話しするために、オリガに記録してもらった。もちろん前日の祝いの席での話も記録済み。
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