怪談拾遺

宇瑠栖(うるす)

第0話 怪談を集めるということ

 いつの頃からか、怪談を集めるようになった。


 しかし、周囲の人に「変わった話や奇妙な話、怖い話など知りませんか」と問うと、大抵は、困った顔をして「知りません」と答えるか、「例えばどんな話?」という質問が返ってくる。


 そういう積極的な回答はよい方で、あからさまに不快感を示す人もいるし、そこまでいかなくとも「幽霊の存在の是非」を問う人もいる。


 前者に対してはもちろん話題を変える。


 幽霊の存在については、「いるかいないかは分かりませんが、そういうモノを見た人がたくさんいることは事実です」と答えることにしている。そこで、どれだけ言葉を尽くしても結論など出ないからだ。


 畢竟、話を集めるのは怪談収集に理解を示してくれている人か、タクシーの運転手やバーテンなど、職業柄聞いても問題がない人が相手となる。


 あるいは、過去に何度か怖い話を持ち寄って怪談会を開いたこともあるが、これも個人レベルでは定期的な開催は難しい。


 そんな中でも、ぞくりとする話がある。


 例えばこんな話だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る