72話決着……魔王候補!?
ドラゴン素材の新兵器を登場させて反撃に転じる晃達であった。
次に晃が取り出した武器は手甲鉤、熊手のような形の尖った4本の刃を持つ忍者武器である。それを左手に装着した晃はジャブを放つ。
打撃格闘スキルも上げてある晃だけに軽快なステップを駆使しての攻撃である。
初めて見る武器であることに加え、近代ボクシングの動きを取り入れた素早い攻撃に暗黒のキルドレックスは戸惑いを隠せない。そして手甲鉤を剣で受け止めたその時、猛烈な烈火が手甲鉤から噴射してキルドレックスのHPを奪う。
「なんだと?」驚きを隠せないキルドレックス、この武器もまたエンシェントファイヤードラゴンの牙を材料に岩田さんに作ってもらったオリジナルモデルである。必殺スキルにミニマムファイヤーブレスが付与されている。
「こしゃくな小僧!」闇のエフェクトのかかった剣技が次々と晃を襲うが、ヘッドスリップ、スウェーを駆使して巧みにかわしながら攻撃を仕掛ける晃。
「分身の術!」3方向から襲ってくる晃の技に完全ディフェンスが出来ず、左腕を負傷するキルドレックス……、「貴様! 幻術魔法まで使えるのか?」
忍術を組み入れながらの攻撃が決まり始め、攻勢がかなり有利に傾き始めていた。
一方、脚に龍素材の具足を付けたルークは剣と足技を組み合わせた、まるで剣を持ったキックボクサーみたいな新らしい戦闘方法を生み出し、白のアルカインを圧倒し始めていた。
ルークが剣を斬りつけ、よけるアルカインに次々と襲いかかる右回し蹴りからの左脚後ろ回し蹴り、パッシブスキルで炎攻撃が付与されているだけに白のアルカインにダメージが蓄積されていた。
長命種であるエルフであるアリシアもまた、60年以上鍛え続けた剣の腕前や魔法で黒のシェパードを圧倒し始めていた。
「あなたの動きは風魔法でアシストされているのよね、既に解析済みじゃ!」
より強力な風魔法を使いスピードアップしたアリシアの剣技と体術の前に黒のシェパードはかわすのが精一杯で、「ロックガトリング!」
かわした先に雨あられの様に襲ってくるマシンガン土魔法が黒のシェパードを窮地に追いやっていた!
「クソいまいましい女エルフですわね!」
そしてルークが白のアルカインを、アリシアが黒のシェパードを無力化して武装解除と拘束を行なったのは、ほぼ同時のタイミングであった。
「やったでござる! アリシアさん勝ったでござるよ!」
「ルークさんもさすがですわ!」
「ワン!」
大喜びする龍ヶ崎桜と葵、コタローであった。
そして心配そうに晃を見守る沙羅の視線の先には……。
「晃君の相手の様子がなんだかおかしいわよ……」
ビクビクとてんかんの発作の様な痙攣を始めた暗黒のキルドレックス……彼の周りを囲んでいた黒いオーラがさらに大きく広がっている。
「どうやらその時が来たようですね! どうやら白のアルカインや黒のシェパードも敗北を喫したみたいだな……このガキどもに悪魔の鉄槌を下してくださいメフィストフェレス様!」
昔のヨーロッパでは、痙攣の発作症状を起こした物は悪魔憑きと呼ばれ魔女裁判にかけられたと言うが、まさしくそれであった……悪魔に魂を捧げた暗黒のキルドレックスの寿命がついに尽きる
時が来たのである。
どんどん大きくなる黒いオーラ……そして完全にキルドレックスが覆われて中から現れたのは……。
「我が名はメフィストフェレス、次期魔王候補とも言われる私がお前達を破滅へと誘おう」
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