ＶＲからの贈り物 夏物語

71話新素材の力！

　クランノストラの三天王のボス暗黒のキルドレックスと対峙する晃に奴の暗黒剣士としての技が襲いかかろうとしていた。

「さあ我が師にして魂を捧げたメフィストフェレス様から授けられた我が奥義を見せてやろう！」

　暗黒のキルドレックスから大きく黒いオーラが立ち上る、晃の足元に魔法陣が展開する……上に跳躍を試みようとする晃の上空にも魔法陣の罠が咄嗟に後方に瞬足移動する晃のいた場所及び上空が大爆発を起こす。

　視界が爆炎により閉ざされる……その時気配を断ち切ったキルドレックスが晃の右側に突然現れ斬りかかる。

　瞬時に受太刀をする晃だが態勢がよろける、「もらったぜ！　暗黒牙蹴！」よろけて態勢不十分な晃に闇のエフェクトの掛かった瞬殺の回し蹴りが顔面を襲う。

　晃は吹き飛ばされる事なく、２メートル程後退したにとどまった。

「なんだ今の重量のかかった受けは？　なぜあの態勢で我が必殺奥義、暗黒牙蹴を喰らいながら致命傷にならない？」愕然の表情を浮かべる暗黒のキルドレックス！

　晃が装備してた小手が普通の小手なら例え最高素材と呼ばれるオリハルコンであっても、奴の強烈な必殺蹴りをあの態勢で受けたら吹き飛ばされて致命傷を負っていたのは間違いないところであった。

　だがしかし……晃が装備していたのはエンシェントファイヤードラゴンの鱗をゲームプラス編集長にして名武器、防具屋として名高い岩田さんに

小手に改造してもらった特別装備である、全くの新素材と名工が織り成した特別エフェクト、さらに足蹴り技に長けたルークとのスパーリングによって培った防御方法が晃の命を救ったともいえる。

　動揺を隠せない暗黒のキルドレックスに更に晃が暗殺者（アサシン）の投擲スキルで投げナイフが4本素早く襲う！

「そんなもん効くわけなかろう！」

　余裕で投げナイフを剣で振り払うキルドレックスであったがナイフから小さな龍のエフェクトが飛び出し噛みつき、わずかずつではあるが奴のHPを削る……そう、この投げナイフもファフニールの牙を材料に作ってもらった新兵器である。

「こしゃくな！」怒りを見せるキルドレックスはさらなる闇属性スキルや魔法を使い闇の矢や爆破を晃に仕掛けてくる、それに忍者特有の回避スキルだけでなく周りの地形……岩や木などを利用して攻撃を仕掛ける晃、決して正攻法で戦わない事でレベル差を埋めることによって戦いを均衡化させている。

　一方ルークは聖戦士である白のアルカインに対して剣での戦いで苦戦していた、「聖剣一閃！」

聖なる光のエフェクトを伴いながら光の加護により加速された剣技が矢継ぎ早にルークを襲って行く。剣士としては日の浅いルークは防戦一方で魔法を繰り出そうにも、詠唱の間が稼げない、やはり遠距離攻撃向けの魔法使いと近接戦闘では相性の上で問題がありそうだ……。

　「聖なる裁きの光！　聖剣一閃！」光斬がルークを襲い、剣で振り払うも態勢が崩れる……そこに襲いかかる白のアルカインの剣技！　それを受け止めたのはルークが履いていた真紅の具足だ。

「なに！　なんだその具足は？」驚く白のアルカインにエンシェントファイヤードラゴンの鱗をベースに牙で縁取られた鋭利な具足が真紅の光沢を放っている！

「炎龍旋風脚！」ド派手な炎のエフェクトを繰り出しながらルークの連続跳び後ろ回し蹴りに防戦一方となる白のアルカイン……。

　さあ攻守交代だ！