第9話 なってます!ヤリマンと噂に
僕と先輩が一緒に暮らし始めたということは
大学内で徐々に噂になっているようだった。
なにせ大学内では知らない人がいないくらい、
かわいい満先輩だったし、それに彼氏をとっかえひっかえ変えている
『ヤリマン』であると噂の絶えない人だったから、
冴えない童貞の僕と一緒にちょくちょく、いや頻繁に帰る様子が目撃されていたのだった。
「ねぇ?今日は何食べたい?」
先輩と一緒の時間に講義が終わり、
部活もなかった日なので一緒に帰宅していた。
「そうですねぇ。夏になってきたし、
今日はきゅうりとかナスでどうですかね?」
「あ~!いいねぇ。塩だれきゅうりの浅漬けとか、なすの田楽とかいいよね!」
「先輩、ビールに合う食べ物ばかりじゃないですか(呆れ)」
「いいでしょ~?やっぱりこの季節はビールと夏野菜、ゲームに決まってるでしょ?
帰ったら今日もスプラトゥーンやるよ~!」
「わかりました。それにしても先輩、最近ローラー上手になりましたよね。」
「えっへっへ!最近はきみの攻略動画、君がいないときは見ながら練習してるからね~!」
先輩はローラーをかけるようなしぐさをしながら、大きな胸を揺らしていた。
そんな二人で帰宅する様子を周りの学生たちが目撃していたらしい。
また、例の『ヤリマン』が新しい男を捕まえたんだなと、冷ややかな目で見ていた。
僕はその日、バイトから遅くに帰り、
満先輩が入れてくれた湯船につかっていた。
一緒に入る~?と、満先輩はふざけているのか、
本気なのかわからないが誘ってくる。
い、いや、入ってこないで!と、心の中で思いながら
なんとなくお風呂でツイッターを見ていると、
リツイートで『とある動画』が僕のタイムラインに回ってきた。
動画は『○○大学ヤリマンの本当の姿』とあり、
自分が通っている大学と、満先輩のあだ名がタイトルに付けられていたので、
気になって内容を見てみた。
『バブバブバブ~~!ママどこぉ~~~!?』
酔っ払って胸の大きな女の子がなにやら泣いたり、わめいたりしている動画だった。
その内容は明らかに満先輩であることがわかった。
先輩が目を潤ませながら、赤ちゃんに戻って泣き叫んでいる。
そうすると次のシーンになり
『おっぱいどこ~?おっぱいほちぃよ~!!!』
などと、満先輩が赤ん坊のようになって、
おっぱいを捜し求めているような姿が映されていた。
「な、なんだこれ!?」
僕は思わずスマホを湯船に落としそうになってしまった。
も、もう一回見てみよう!
『バブバブバブ~~!ママどこぉ~~~!?』
やっぱり先輩じゃないか!?
しかも、投稿されてからまだ1時間しかたっていないのに1,600RT近くされており、
すごい勢い拡散されているのがわかった。
コメント欄をみると
「やべぇ、頭おかしいガイジがいるぞ」
「FF外から失礼するゾ^~」の嵐。
「おちんちんランド開演」などという訳のわからないパチンコのエフェクト風の文字、
コラージュで満先輩が臭そうな男にバックで犯されているような短い繰り返し動画などが張られていた。
SNS上が大変なことになってますよ!?
僕は戦慄が走り、服を着ていないことも忘れて、僕は風呂場から飛び出した。
「先輩!おかしな動画が拡散されてますよ!!これって先輩ですか!?」
満先輩、びっくりした様子でバナナを食べていた手を止めた。
「…ゆうくん。」
「…あ、はい。」
「…結構、大きいんだね。」
しまったぁ~~!!服着るの忘れてたぁぁぁぁぁぁ~!!
急いで風呂場に戻ろうとしたが、足の裏が濡れていたため、
足が滑って先輩のほうに覆いかぶさってしまった。
むにゅ。あ、これってやばい。
「そして、祐君ったら、本当は積極的だったんだね」
「わぁぁぁぁぁぁ!!すいません!すいません!許してください!なんでもしますから!」
「ん?今、なんでもするって…。」
先輩が頭をグイッと引き寄せた。あと数ミリでキスできそうになる。
先輩の吐息が僕の唇に触れていた。
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