ゲームが上手な童貞くんとゲームが下手なヤリマンちゃん
高橋留美郎
第1話【朗報】童貞の俺の部屋に可愛いヤリマンな先輩がいる件について
「――ただいま。」
一人暮らしのアパートの玄関で靴を脱ぎ、フローリングの廊下を抜ける。テレビが置いてあるリビングからゲームのBGMが聴こえてくる。ソファにはボブカットの美女が無防備な姿で眠っていた。右手にゲームのコントローラーを持ち、彼女には大きすぎるメンズのLサイズの『モンハン』Tシャツを着て、ノーブラ、デニムのショーツというセクシー過ぎる姿で眠っていた。
――エッッッッ!!この姿はずっと見てたい…。けど、僕の理性がもたないな。とりあえず、起こさないと。
「み、満先輩…、起きてください。」
僕は眠っている彼女の肩を控えめに揺すった。
「あぁ…遊君。おかえり…。夕飯作っておいてあげたよぉ。」
彼女は目をこすりながら、眠そうに応えた。
「なんて格好してるんですか…!それにいつも言ってますが、僕の服を勝手に着ないでください!」
「いいじゃん。減るもんじゃないし。」
「減りますって!僕の大切な心の一部が削られていく気がするんですよ!」
「あまり大きな声出さないでよぉ。あ、もしかして、あたしのこの姿を見て恥ずかしがってるのを隠すためにムキになってる?かわいいにゃあ。童貞の遊君にはこの姿は刺激が強すぎるかなぁ?」
「わ~!近づかないでください!イロイロ見えちゃいます!」
こんな調子で彼女は普段から僕をからかってくる。
僕の名前は一番合戦 遊(いちまかせ ゆう)都内の某大学に通っている大学生だ。僕の日常は大学の講義、趣味のゲーム、バイト。
そして、恋人は…残念ながらいない。しかし!恋人なんかいたら打ち込んでいる趣味に割く時間がなくなってしまう。趣味こそ僕の人生!僕は趣味を極めるのだ。恋人はいなくても趣味に生きている!僕は十分に『リア充』だ。
恋人がいないはずの僕の家にいるこの子悪魔は誰かって?彼女は家利 満(いえり みちる)。同じ大学に通うの先輩だ。大きな瞳が印象的で、髪型はボブカット。スタイルが良く、巨乳で色白だ。そんなセクシーでかわいい彼女はもちろん構内でも有名なアイドル的な学生だった。彼女の学科のみならず、構内では知らない人がいないくらい有名である。そんな彼女の大学でのあだ名は『ヤリマン』。とんでもなく不名誉なアダ名は、彼女の名前『家理 満』をもじったのと、大学内で色々な男子と一緒にいる姿からそう呼ばれていた。
――それにしても…。
彼女はデヘデヘ笑いながら、僕のほっぺたをつついてくる。
――う…ウザイ…!!いつも以上に酔っ払ってるのか、やたら絡んでくるなぁ。
チラリとテーブルのほうを見ると、ビール缶が何本か空になっているのが見えた。
「ねぇ〜!黙ってないでかまってにゃあ〜。」
僕の身体に執拗に大きな胸を押し当ててくる。彼女の胸の柔らかさと、お酒の匂いに頭がクラクラした。
「さ、酒臭ッ!ともかくちゃんと服を着てください!」
「そんな恥ずかしがることないでしょ。そんなに意識されたらこっちが恥ずかしいよぉ。」
「いやいや、誰だってその格好見たら、そうなりますって!」
僕は必死に彼女を身体から引き剥がした。
「ぶ〜!いつもそっけないんだからぁ!あ、そうだ。そんなことより見て!」
彼女は無邪気な笑顔でテレビを指差した。
「遊くんのアドバイス通りプレイしたら、ほら!」
「…あ、Bランクに上がってる!」
人気対戦型シューティングゲーム『スプラトゥーン』の彼女のランクが上がっていた。
「ちょっともっと褒めてくれてもいいんじゃないの~?今までCランクだったんですけど~!」
僕は一緒に暮らす彼女に時折、ゲームを教えていた。彼女はこの家に来るまでゲームをほとんどやったことなかったそうだ。この家にはゲームが沢山あるのだが、興味本位でプレイしてみたところ、彼女はゲームというものにこの歳にして初めてハマったのだった。
――すごいとは思うけど、疲れたし、正直もう寝たい…。そろそろお風呂に入って寝ようかな。
わぁわぁうるさい彼女を放っておき、おやすみモードになっていると、彼女は上目遣いで僕を見つめてきた。
「ねぇ、ねぇ、今日もさ、朝までするでしょ?」
彼女は頬を赤らめながら、潤んだ瞳で僕を見上げてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます