第3話 好き。

私、川内みさきは、クラスメイトの石上蒼に恋している。


でも、蒼くんはかっこよくて、優しくて、爽やか。


よくある恋愛漫画の王子さま的存在だ。


だから、本当は、私の分際で好きになっちゃいけない人なんだ。


「やっぱり、私って蒼くんなんか好きになっちゃダメなんだよね、」


そう、蒼くんに対する、


女子からの黄色い声援を聴きながら、呟く。



でも、、、。



私が蒼くんを好きになるきっかけになったのは、


三年前の3月、小学校の卒業式の練習をしている時。


その時は、まだ蒼くんの人気は今ほどじゃなくて、


友達と冗談を言い合って笑う、面白い男の子だった。


「坂上!いい加減、練習に集中しろ!」


そう、先生に怒られたのに、蒼くんは気にせず冗談を言い続けてる。


先生の声は、蒼くんに全く聞こえてないみたい。


私、蒼くんの近くにいたから、頑張っていったの。


「坂上くん、しーっ!」


って。


そしたら、蒼くんが急に黙っちゃったから、


どうしよう、仲良くもないのに、勢いで言っちゃった、、。


そう、落ち込んでいたけど、蒼くんは、


「しーっ!」


って私の真似をしながら、笑ってくれた。


それが嬉しくて、その笑顔をもっと見たいって思った。


でも、これが恋だと気づくには、もっと時間がかかって、、。

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