シリーズものの一作目。Prequelとあるように前編的なお話ですが、ひょっこり顔を出す暗さや、「あえて訊く必要もない」という優しさが気になる&雰囲気の良い日常話。二作目から読んだから、オルトも出会いの時は言葉が丁寧だったんだなって……w
街区をまたげば、人も文化も時空も異なる。様々なものが混在する「世界樹の街」。翼人の郵便屋オルトの配属先《黄昏通り》には、エルフという種族のイメージからは随分外れた謎多きぐうたら店主。配達人と受取(をめんどくさがる)人のやりとりが楽しく、間のコラムも面白い作品です。ぶっきらぼうだけれど情に厚いオルト。何か過去がありそうながらものらりくらりと穏やかに暮らすユージーンのもとに、彼は今後何を運んで来るのでしょう…?
世界樹の街の情景が想像できて、その中で飛び回る郵便屋と言うのが面白そうな構想です。先が楽しみ。