第2話
かおりは悩んだ。
母といい、祖母といい、人の物を無断で食べても許されると思っている思想は一体どういうことなのか。かおりの姉が中学生だった頃、母の財布からお金を抜き出して遊びに行った時はそれはそれは怒り、厳しく叱っていたがそう言うオマエはどうなのか。
母は3姉妹の長女だが他人のものを食べるのは姉妹のうち母だけである。
祖母から受け継がれたと思しき『家族の食べ物は奪ってもよい』という無神経さは、全員ではないが一部の子孫に受け継がれている。その姉が母のものを勝手に食べると、母はこれ見よがしに父に告げ口したり、自分は被害者だと訴える。
かおりはその理不尽さに少なからず今までに何度も意見してきた。しかし母の言い分はこうだ。
「誰に育ててもらったと思ってんのよ」
問題が挿げ替えられている回答だが母はその自覚が無い。仮にそう言うのであれば、「私は莫大なお金を使って貴女を育てたのだから貴女のものを食べる権利がある」と正々堂々と食べる権利を主張したら良いのである。しかし、子供相手に謝りたくない、自分の非を認めたくないが故に権力や立場を振りかざす母のやり方に、かおりは納得できないでいた。
もちろん親として尊敬できる面もあるし、育ててくれたことにはとても感謝している。
しかし、食べ物については食うか、食われるかの戦いだった。
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