鈴蘭の毒

 父が他界し、兄が王となって以降、旅先で聞く祖国の評判は、余りよいものではなかった。

 兄が、力が第一であるという方針であったためでもある。

 王弟は何をしているのかという声も聞こえた。

 そう、私は兄の妻となった女性への未練を断ち切れず、身勝手に責務を放棄した。


 そんな折、私はひょんな事から毒を入手した。

 そして、思ってしまったのだ。これがあれば、兄から彼女を奪うことができるのではないかと。


 けれども、彼女が居間の生活に満足していたら、身勝手に彼女の生活を壊すだけではないのか。

 考えを巡らせては、何も決められない。弱い男なのだ、私は。

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