一歩踏み出す勇気

まる

第1話

「一歩踏み出す勇気」


この言葉をバイト先の先輩から言われた


バイトのことや学校生活や人間関係などの様々なことを先輩に相談していた時、もう「一歩踏み出す勇気」があればね。と言われたんだ


私は何をするにも一歩引いてしまうことが多くある。


例えばバイト中。


上の人から「これはこうしてほしい。」と言われる。でも自分では「もっとこうしたほうが良くなるんじゃないか。」そう思う時がある。


でもできない。


自分の考えがあるのにそれを発言することができない。


自分の考えの方がいい時だってあるはず。

考えを言ってみて駄目なら上から言われたことをやればいい。


それでもできない。






人間関係について。

いや恋愛について。


これは誰もが1度は思ったことがあるかもしれない。


ずっと片思いしている人がいる。


でもその人と今の関係が崩れるのが怖くて、なにもできない。


連絡先を聞くことも、彼女(彼氏)がいるか聞くことも、好きなタイプを聞くことも。


なにもできない。


好きだと遠回しに行動することも、なにもだ。


なにもできない。


でも片思いの場合、こちらがなにか行動を起こさない限り絶対と言っていいほど関係が進展することはない。


なにか行動を起こしてみれば、もしかしたら進展する可能性もあるかもしれないのに。




そんな私に先輩は「一歩踏み出す勇気」という言葉をくれた。


「一歩踏み出す勇気」

それは様々な「勇気」がある中で1番困難な「勇気」なのではないかと思う。


その勇気があればきっと今の状況はないだろう。


自分でもよくわかっていることではあった。


「でもそれができないんだ!」

そう思っても先輩にそのことも伝えられない


すると先輩はこう言った。


「今、(それができないから相談してんじゃん。)って思ったでしょ?(笑)」


「そうだよね〜、俺もそう思ってた」


そう続けたんだ。


しばらく沈黙が続く中、沈黙を破ったのは先輩だった。


「でもさ、できないって思ってたらいつまで経ってもできないよ。別に自分の意見を言わないで生きていく!って決めてるならいいけどさ、それじゃ嫌だから相談してきたんでしょ。

だったらさ、踏み出してみればいいじゃん。

片思いに関してはわからないけどさ、バイトに関してなら言える。お前は信頼されてる。

だから上の人だってお前に仕事を頼むんだよ。お前も上の人のこと信頼してるから頼まれた仕事をしっかり熟すんだろ?

その信頼関係があるなら自分の考えを言ったところで上の人は嫌な気持ちしないはずだぞ。

全て自分の意見が通るとは限らないけど、

全く否定されることはないだろ。

だから言ってみろよ、

勇気出して踏み出してみろよ。」



私は先輩の話をただただ無言で聞いてるしかなかった。



でもその先輩に「勇気」を貰えたのは確かだった。




その話から1週間後。


私は上の人からまた仕事を頼まれた。


「この新商品を1レジ前だけに展開してほしい。推していきたいんだ。」


その時、私は思った。


(推していきたいなら1レジ前だけとは言わずに2レジ前、そして通常売り場にも展開したらいいのに。)


いつものように一歩引いて反論せずいようと思って「はい。」と返事した。



でも引っかかった。



先輩に言われた「一歩踏み出す勇気」


その言葉が私をひと押しする



「あの…推していきたいと思っているなら、もっとたくさん展開しませんか…?」



恐る恐る言ったこの言葉を上の人が聞くと


「いいね!それ!いやぁ初めて自分の意見を言ってくれたね!嬉しいよ。やってみて!任せる。」



すごく嬉しかった。


感動した。


スッキリした。



「一歩踏み出す勇気」


怖くて不安で踏み出すのを辞めようと思う。

辞めるのは簡単だ。



しかし怖くて不安でも「一歩踏み出す」ことが出来たときの感動と爽快感を味わうことは人生において幸せな出来事だと私は思う。




「一歩踏み出す勇気」を実行するのは大変困難なことだが、あのなんとも言えない感動と爽快感を味わることは「一歩踏み出す勇気」を実行した者でしかできない。

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