第30話 ドッキリ?

昔、家への帰り道にある橋を渡ろうとしたら

橋を渡りきったあたりの隅っこに

若い男の子が赤いバラを一輪持って

しゃがんで座っていた

腕に、顔をうずめているので

表情は見えないが、なんとなく

そっとしておこうという雰囲気


反対側の端っこをそっと歩いていると

急にその人が顔を上げたので

うっかり目があってしまった


あ!立ち上がったと思う間もなく

赤いバラを手にした彼が

私の方に歩いてくる!

うわ~目の前に立たれちゃった、、

うろたえた私の頭に浮かんだのは

ドッキリ?これなんかのドッキリなの?

というアホなこと


そして彼は口を開いた

「こんちわ!今日は辛いことがあったん 

で誰かに話を聞いてもらいたい

と思ったんです」

えっと、、、一瞬話を聞くべきか

迷ったが

「ごめんねちょっと急いでるから

 よくわからないけどがんばって!」

とフォローがへたな私の言葉に

彼はちよっと笑ってバラを差し出した


え?私がもらってもいいの

と思ったけどお礼を言って

ありがたくちょうだいした

失恋かなんかかな 人目も気にせず

橋の上でしゃがみこんでたんだから

相当な痛手なんだろうね


後日この話を聞いた9割の人が

きっとその人はヤバい人だよと言ってた

そうなのかなぁ?


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