第65話 醒めない夢
65.
~果歩が消えた日から 16
婚約者の仲間友紀が怪しい行動を取っていることを知ったのは
従兄の茂さんからの連絡がそもそもの始まりで、その後
いろいろ相談に乗ってもらってる。
それで友紀の結婚発言のことも相談した。
「本当に判らないのか? 鈍いんだよお前!
そりゃあ、今一緒にいる相手と上手くいかなくなった
からにきまってるだろうよ。きっとあれだな、1年前に
本当のことをお前に言わなかったってことは、お前はその男と
上手くいかなかった場合の保険だったんだよ。
ほんとにタチの悪い小ざかしい小娘だよ。
結婚はよく考えて決めろよ。
俺ならすっぱり止めるけどな」
と従兄から辛口のコメントをもらった。
従兄と友紀も挨拶する程度には顔なじみで、ちょうど1年前の
今頃、俺は従兄から妙な話を聞かされていた。
---1年前--
「なぁ、達彦、友紀との結婚はどうなってんの?」
「あぁそれね、友紀の希望で1年後に延びた」
「ふ~ん! お前達ちょっと大変だったンだな」
妙なことを言うなぁと思った。たいへん? なにが?
「友紀ちゃんもお前も残念だったな」
「何が? よく判らんけど」
「友紀ちゃんから何も報告受けてないのか? 」
「報告? え~と、結婚を延ばしてほしいっていうのは聞いたけど。
他に何かあったっけ? フム」
「ふむって・・ふむって、お前」
「俺たまたま休みの日で、暇だから昼休み碁を打ちに医局に
出向いたんだわ。そしたらちょぅど病院前でタクシーから
降りてくる友紀ちゃん見たのよ」
「へぇ~」
「婚約者が病院ってお前何か気がつかないのか?」
「ぜんぜん! 」
「まっいいわ。何気に気になって受付に声かけたら
受診先、産婦人科だった。で、その日の外来が俺のダチでさ
身内がお世話になったみたいだけどって診断内容聞いたわけ」
「そういうの確か、だめでしょ? メッ!」
「だめでしょって・・おまっ・・友紀ちゃん流産
してたんだよ? なんでお前そんなに平静なんだよぉ・・って
か、知らされてなかったんならしょうがないけどな。
あれか、友紀ちゃん赤ちゃんが上手く育たなかったから
言いづらかったんだな、きっと。健気(けなげ)だねぇ~」
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