第18話 醒めない夢
18.
~深山康文と果歩の結婚生活 ⑮
どうすればいい?
どうすれば……。
ここ最近の夫の行動から、毎日このパターンで
私は即日前回お世話になった興信所に短期決戦で仕事を依頼した。
そしてまたもやグーの音も出ない証拠を持って義両親を訪ねた。
後日、康文は両親に呼び出され厳しく叱責された。
◇ ◇ ◇ ◇
「今日どうしてわざわざここへ呼ばれたのか分かってるのか?」
「なんか喧嘩腰で険悪だなぁ~。
真面目に就活してるし、俺、親父に何かしたっけ? 」
「真面目に就活してるだと?
私たちを舐めるのも大概にしなさい。
お前が例の赴任先の彼女を日本に呼び寄せて会ってる
ことはバレてるんだ。
つい先だっての不祥事なのに全く反省してないようだな。
後先考えず女と
なって情けないお前と別れず、やり直してくれた果歩さんに対して
申し訳ない気持ちはないのか?
ないンだろうな。
あったら無職で収入もないのにこんな理不尽なこと
できるはずないもんなぁ」
-
康文の父親は興信所からあがってきた証拠となる拡大写真を
何枚も息子の前にパラりパラりとばら撒いた。
流石にそれらを見せられ、康文はひと言の言い訳もできず
無言のまま俯くしかなかった。
「一度のことなら……と、私はお前を信じたいと思っていた。
母さんも果歩さんもきっと同じ気持ちだったんだろうと思う。
だが短期間でこういうことが平気で出来てしまうお前を
見ているとそれが大きな間違いだったと気付いたよ。
悲しいことだがお前は信じるに足らない人間のようだ」
そう話す父正一の目には涙が薄っすらと滲んでいた。
人生伊達に長年過ごしてきたわけじゃない。
息子のような約束ごとを守れず女にだらしない輩も
ちらほら見てきている。
悲しいかな、そういう輩はご多分に漏れず人を騙すことを
何とも思わない。
こと女性関係に至っては、ヤル奴は何度でも過ちを繰り返すと
経験上分かり過ぎるほどわかっていた。
残念ながら我が息子はこの先もチャンスがあれば何度でも浮気を繰り返し妻子を困らせ悲しませるだろうことも。
だから深山正一は息子に三行半を突きつけることにした。
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