第4話 醒めない夢
4.☑
~深山康文と果歩の結婚生活 ① ~
私たちは大学2年の頃から付き合っていて、お互いの就活が
上手くいけば職場に慣れる半年から1年後を目処に
入籍して一緒に暮らそうと約束していた。
そして約束通り働き出して半年後、私たちは入籍して
夫婦になった。
早めの出産と子育てをと考えていた私は、就職してから
3年目を迎えるその前に妊娠し、3年と4ヶ月目の臨月まで働いて
産休に入った。
案ずるより産むが易しとはよく言ったもので、思いのほか無事に
安産で女の子が産まれた。
育休はギリ3年間取れるので気持ちに余裕があった。
身体のことや状況によっては早めの復帰もありと考えていた。
◇ ◇ ◇ ◇
商社マンはとにかく忙しい。
だから平日夫に子育てや家のことを手伝ってもらうことは
ほぼ無理だ。
実際忙しい夫を持つ身としては、産休が取れてその上育休まで
ちゃんと取れる職について良かったとしみじみ実感した。
子供を持つことを前提に家を決めたので、徒歩で6~7分という
実家に近い場所を選んでいた。
平日はもとより……
母は、私と孫の面倒を見るという水戸黄門さまの印籠よろしく
理由付けがあるので、父の居る土・日など夫が仕事があって
出かけている日もしくは疲れて寝ている時を見計らって
よく我が家に息抜きも兼ねてやってくるようになった。
そんなこんなで母親の表情が明るくなったし、娘は可愛いしで
私もこれまでになく幸せな日々を送っていた。
そんな中、夫の海外への単身赴任が急に決まった。
前任者が病気で急遽帰国することになったからだ。
付いて行きたいのはやまやまだけれど、産まれたばかりの娘が
いる身ではどちらにしてもすぐの帯同には無理がある。
それに仕事を捨てるわけにはいかない。
そして何より夫が商社に就職を決めた時からこんな日が来る
ことは予想されることだったので私と夫との間で話しはついていた。
夫だけで単身赴任するという。
なので、夫は可愛い娘と会えなくなることに後ろ髪を引かれつつも、
娘の100日目のお祝いも待たずしてひとり、赴任先へと旅立って行った。
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