ストレンジャー

サムライドラゴン

第1話 「白スーツ」

 とある海岸付近にある基地にて・・・。


「もう、お前たちとはこれきりだ。」


 白いスーツを着た長身の男性が、自分の周りにいる強面の男たちに言い放った。


「ほう、俺らを裏切るというのか・・・。」


 集団のリーダー格と思える髭面の男はそう言うと、持っていた酒を飲み干し、そしてスーツの男に向けて酒ビンを投げつけてきた。

 しかしスーツの男は軽やかに避け、酒ビンは地面で砕けた。


「ならば死ね!!」


 髭面の男がその言葉を発した直後、周りの男たちが立ち上がり一斉に武器を構えた。


「これは手荒い送別会だな。」


 スーツの男はそういうと、目に入った男に高速で接近し、思いっきり腕を振った。

 すると次の瞬間、男の頭が胴体から転げ落ちた。その生首は、自分が死んだことに全く気付いていない普通の表情だった。


「ぬうぅ、やはり簡単にはいかぬか・・・。」


 スーツの男の腕からは、"ナイフのようなトゲ"が生えていた。

 髭面の男はやや焦りの表情を見せ、他の男たちは仲間の死を目の当たりにしてやや一歩後退った。

 しかしすぐにスーツの男に突撃するが、一気に五人中三人の首が落ちるのだった。


「どうした、私を殺してみろ。」


 スーツの男は挑発する口調で喋り、その内の一人が言葉に釣られ攻撃を仕掛けるが、返り討ちにあった。今度は首ではなく、胴体が真っ二つにされた。

 最後に残った一人は全力で逃げるが、すぐに追いつかれ身体を真っ二つにされた。


「あとはお前だけだぞ。」


 スーツの男は背を向けながら髭面の男を睨みつけながら言った。

 髭面の男は青ざめた顔をしている。


「この化け物がっ!!」


 髭面の男がそう言うと、懐から黄金の銃を取り出しスーツの男に向けて発砲した。

 しかしスーツの男は、次々と弾を避けながら髭面の男に接近する。

 そして気付いた時にはすぐ目の前にいた。


「なっ・・・!!?」


 そしてスーツの男は銃を構えていたほうの腕を切断した。

 腕からは大量に出血し、髭面の男もあまりの痛さに叫びを抑えることができなかった。


「これで終わりだ。」


 そう言って髭面の男の脳天目掛けて腕を振り下ろす。だが次の瞬間、後ろから何者かに発砲されてしまった。


「ぐっ・・・。」


 瞬時にスーツの男は横に転がり、その姿を確認した。

 そこにいたのは身体全体が青く光っている鋼鉄の男だった。


「すいません、その男は我らにとって大事な人材なので、殺さないでください。」


 鋼鉄の男は丁寧な言葉遣いで訴えかけてきた。

 そして髭面の男はすぐにその男の後ろに隠れた。


「おお、よく来てくれた。 おかげで助かったぜ。」

「いえいえ、私は仕事をこなしただけです。」


 そう話すと、鋼鉄の男はスーツの男のほうを向いた。


「あなたも大切な人材だったのですが、非常に残念です。 我らのためにここで死んでください。」


 鋼鉄の男の銃の銃身から電気の塊のようなものができ、スーツの男に銃口を向けた。


「さよならです。」


 次の瞬間スーツの男は柵を超えて海に飛び込むが、後ろの爆風で思いっきり海面に打ち付けられ、その姿は海の中に消えたのだった。


「死んだのか・・・?」

「おそらく生きているでしょう。 奴は我々の組織が造ったサイボーグですから。」


 白いスーツの男の身体は半分が機械化されており、頭はいわゆるロボットまたは兜のような頭部をしていたのだった。


「やれやれ、それにしてもここはもう使えませんな。」


 そう言うと鋼鉄の男は髭面の男を抱えて、どこかへ去って行った。

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