学校できもだめしをしたときのこと
月読舞雪(マユ)
学校できもだめしをしたときのこと 前編
小学五年生の時のことです。
私の学校では、五年生になると夏休みにキャンプがあります。
キャンプと言っても校庭にテントを張って寝泊まりする程度のものです。
学校にお昼から集合すると、早速みんなでテントを張りました。
先生の指示に従って、みんなで作業すると、それほど時間のかかるものではありませんでした。
その後、いくつかのゲームを行い、今更ながら親交を深めました。
そして、夕食の準備です。
キャンプの夕食と言えば定番のカレーです。
カレーは五年生にもなると、家庭科の授業や、それぞれの家で作ったことがあるので大きな問題にはなりませんでした。
ところが、ご飯については別です。
飯ごう炊さんを行うのです。
ご飯は炊飯器の時代、キャンプ経験のないほとんどの児童と先生達。
火加減、水加減、かなりいい加減です。
結局できたご飯は、「お焦げがおいしいね」レベルではありませんでした。
容器の周りは真っ黒で、半分が食べられないほどの焦げ具合。
中程はかろうじて食べられる状態でしたが、芯の残るご飯は最悪でした。
それでも、みんなが作ったカレーをかけると、それなりにおいしく思ったのは、キャンプという特別な空間だったからでしょう。
さて、ご飯を食べ終え、後片付けが終わる頃にはもう星空になっていました。
この後はお待ちかねのキャンプファイアーです。
マイムマイムを踊り、もえろよもえろといった歌を歌いました。
ですが、さすが小学五年生。
あの子とこの子が……ということもなく、みんな真面目に炎の周りをダンスしました。
今思えばもう少し色恋沙汰があっても……
実はこの後にもう一つ、最後のイベントがありました。
校内できもだめしを行うのです。
男女三人ずつのチームを作り、校内をスタンプラリーをします。
配られた地図を元に、順番にスタンプを押していくだけなのですが、途中、先生達が精魂込めて作ったホラーグッズがお迎えしてくれるのです。
地図には矢印で道順が書かれているため、確実に罠にかかります。
スタンプは理科室や家庭科室など七カ所にありました。
その途中の廊下や階段、教室などに先生達が潜め、児童を脅かします。
日頃の恨みとまでは言いませんが、大人げありませんでした。
大声を出すだけでも十分びっくりするのに、火の玉や、濡れた布が仕掛けてありました。
一番怖かったのは、学年主任の先生が白い布を羽織って追いかけてきたことです。
正直気持ち悪いです。
女の子は泣いたり、その場から動けなくなる子が多くいました。
気の弱い男の子は……ここでは名誉のため書かないことにします。
そのため、途中で棄権する児童がたくさんいました。
もちろん、頭のいい児童は先にゴールしたチームからスタンプがすでに押されている地図をもらおうとしました。
しかしながら児童の無事を確認するためだと、先生がスタンプを押し、名前を記録することになっていました。
事実上、不正の取り締まりです。
要するに、先生達もこのイベントに本気になっていました。
さて、私たちのチームの順番がきました。
なぜか一番最後でした。
私たちのチームは、仲のよい、どちらかというと大人しい女三人と、リーダーシップのとれる、スポーツ系男子達でした。
七カ所のうち、六カ所までは順調でした。
先生達の奇襲にも負けず、男子達がゲームの勇者のように戦ってくれました。
きもだめしというより、大人げない先生達の仕掛けを暴いていく、その楽しさがありました。
怖いという気持ちは出発してすぐになくなりました。
これも男子達のおかけと思っています。
ところが、最後のスタンプを押しに行くときに事件が起こりました。
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