第4話 狙う都市

ー翌日ー


今日は早めに起きた。アリアちゃんが昨日言っていたことは果たして事実なのか確かめるべく、もう一度新宿中心へ出向くことになる。

模音「ガントレット持ってった方がいいかな…?」

相手は神出鬼没で昼夜問わず襲ってくるのだから、一応持ってった方がいいのかもしれない。

模音「そんじゃ、行こっかアルテミス。」

身仕度を整え、アパートを後にした。


ー新宿中心ー


アリアちゃんは昨日とほぼ変わらない姿で昨日言った通り同じ場所にきっちりいた。

アリア「あら、ちゃんと来てくれたのね。ごめんなさい…昨日は気味の悪いこと言って…」

模音「ああ…それなら私は大丈夫。それで、話って?」

日曜だけあって人も多いけど…ここで話しても大丈夫なのかな?

模音「大丈夫?ここで話しても…」

アリア「ええ、話す覚悟は出来てる。」

風で飛びそうな麦わら帽子を押さえながらアリアちゃんは一言だけ言った。


アリア「私は……あなたの敵、リゾネーターよ。」


一瞬金曜日のことがフラッシュバックした。リゾネーター?何でアリアちゃんが?あんな悪魔と呼ぶに相応しい柄の化け物が……私は理解が遅れた。

模音「それって…どういうこと…?」

アリア「あなた、政府(マクラウド)の人間でしょ?あなたのその目で確定した。」

私の目が他とは違うって言っていたのはそのことだったんだ!

模音「私も…秘密にはしろと言われてるけど…そうだよ。私はマクラウドの人間…」

ここまで言われたら隠すだけ無駄だと思った…だから私も打ち明けた。

アリア「政府の人間なら、私を殺せるでしょ?」

模音「そんな!殺すなんて…そんなの出来ないよ!!」

アリア「リゾネーターを殺すのがあなた達の役目なんでしょ!?私は…アリア・ゴドウィンという皮を被ったあの化け物達と同じなのよ!?」

そうだ……今私の前にいるのは人型のリゾネーター。政府の命で倒さなきゃいけないのは分かってる…でも……

模音「それは…出来ないよ…だってアリアちゃんは現役のアイドル…このまま殺しても意味ないよ…それに、今まで支えてくれたファンが悲しむし…」

アリア「政府の人間なのに、おかしな人ね。じゃあ教えて……」

アリアちゃんは涙を流しながら私にうったえた…




アリア「私は……私は何者なの!?」





答えるのに数十秒かかった。震える唇がどうしても答えるのを拒んでいるようだった。

模音「アリアちゃんは、アリアちゃん。他の何者でもないよ。だってあの化け物と同じだったら今この瞬間でも人を襲っているし、ましてや目の前の私でさえ死んでるかもしれない…アリアちゃんはあの化け物とは違う。ちゃんと人間として生活してる。涙だってちゃんと出てる。秘密を打ち明けてくれてありがとう…だから、人間であることを誇りに思っていいんだよ。」

私はそっとアリアちゃんを抱き締め、落ち着かせた。何かちょっと恥ずかしいけど…

アリア「ありがとう……おかげで希望が持てた。私の過去…全て話すわ…」

涙を拭い去り、アリアちゃんの過去の話を聞いた。

アリア「私はね、数年前にここに現れたリゾネーターの一人だったんだけど…まだ形を成してなくて、水滴のような状態だった。毎日ただ移動するだけ…だけど、段々と人間達を見ていく内に人間の素晴らしさに気付いていって、いつしか「同じようになりたい」と願うようになったの…それで気が付けばいつしか人型になっていた…そんな感じ。」

人間達が良いところを見せなかったとすれば、もしかしたらアリアちゃんは他のリゾネーターと同様の存在となっていたかもしれない。

模音「名前は誰が付けたの?」

アリア「名前は自分で付けたわ。気晴らしに行った図書館で読んだ本を見て付けたのかもね。」

模音「じゃあ、アイドルにはどうやって?」

アリア「ここを散歩していた時にたまたまアイドル事務所のプロデューサーが私にスカウトしに来て、やることもなかったからアイドルを始めて…それで今に至るわけ。」

聞きたいことが山ほどあったが、色々聞くのもアリアちゃんが困ると思ったのでやめた。

模音「ありがとう!あ、そうだ。まだ名前教えてなかったよね…私は桐山模音!14歳の中学三年生!」

アリア「中学生だったのね。まぁ私も大体あなたと同じくらいだと思う。今日はありがとう。念のため連絡先を交換しておきましょ。」

模音「分かった!」

お互いのスマホで連絡先を交換した。これでいつでも話が出来るようになった。

アリア「私はまだここらへんを散歩するわ。模音はどうするの?」

模音「私は帰るよ。気を付けてね!」

アリア「分かったわ。模音も気を付けてね。模音には感謝してるんだから。」

その言葉を言われると少し照れる…私はアリアちゃんと別れてアパートに戻った。


???「人型のリゾネーター…必ずや始末する。」



ーその夜ー



アリアは人影の少ない路地にいた。そして急に声をかけられた。

???「アリア・ゴドウィン…」

模音「あなたは、誰……?」

謎の女性は単刀直入に言った。

???「あなたを始末しに来た。」


ーアパートー


ブゥゥゥン…

模音「アリアちゃんからメールだ。」

携帯のバイブレーションが鳴り、メールの届が来たことを知らせる。アリアちゃんからのメールだった…



『助けて…今、謎の女性とロボットに追われてる!』



模音「アリアちゃん!どうかしたの!?」

私は急いでアリアちゃんに電話を繋いだ。生きててほしい…!どうにか…!

ブゥゥゥン…ブゥゥゥン…

模音「もしもし?何があったの?」

アリア「今、女子高生みたいな人と変なロボットに追われてるの!何か私を始末するって……今私は駅周辺にいる…」

模音「分かった!すぐそっちに向かうよ!」

電話を切り、ガントレットと携帯、駅の電子マネーのみ持ってアパートを飛び出た。今日あの時誰かが聞いていたのか?それに女子高生みたいな人とロボット…まさか!!



ー新宿中心ー



???「もう後がないわね。」

アリア「どうして…私を狙うの?」

???「あなたがリゾネーターだからよ。カザキリ、トドメよ。」

ロボットが長刀でアリアを刺そうとしたしたその時…!

ガキン!!

アルテミスの咄嗟の銃撃で長刀は弾かれた。

模音「はぁ…はぁ…間に合った…」

アリア「模音!!」

アリアちゃんは私に駆け寄って後ろに下がった。謎の女子高生とロボットは紅斬先輩とそのホープミュードだった。

模音「何故アリアちゃんを殺そうとするのですか!?」

紅斬「そいつは人の形をした化け物よ。危険性が高くなる前に始末した方が話が早い。」

模音「アリアちゃんは化け物なんかじゃありません!れっきとした人間です!」

紅斬「じゃあそいつが人間を止めて化け物と同じになったらあなたはどう責任をとるの?私達はリゾネーターを討伐する部隊…そうでしょ?」

今の先輩は狂気満ちていた。私にはそうとしか思えない。

模音「リゾネーターにも色々あるんです!アリアちゃんの話も聞いて下さい!」

紅斬「化け物の言葉に耳を貸す気はない。」

ついに私は痺れを切らし、こう言った。

模音「そこまで言うなら…先輩といえども、あなたと戦います。」

紅斬「いいわ。ここで白黒ハッキリつけましょう。」

お互いにガントレットを構えて戦闘開始の合図を告げた。

模音・紅斬「オープンガントレット・バトルスタート!!」

続く



次回予告

カザキリの猛攻がアルテミスに迫る!!

紅斬「あなたとは戦いの経歴が違うの。」

解決へと導く手立てはないのか!?

模音「分かってはくれないのですね…」


模音「私はアリアちゃんを守りたいんです!!」

次回 死守







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