春風のメッセージ
ひさか たかし
プロローグ 秋風の街
この街を訪れたのは3度目の事。
1度目は桜咲く春の季節。親しい友人と旅行した時に。
2度目は蝉時雨が降る夏の季節。知人と温泉に立ち寄った帰り道に、美しい夜景のこの街を走り抜けた。
そして3度目の今日、落ち葉が舞い散る秋の季節。この街の美術館の広場で、貴女が目の前に突然舞い降りてきました。
貴女とは初めて逢ったはずなのに、何故こんなに胸がざわめくのだろう?とくに言葉をかけた訳ではないし、淡い恋心を抱いた訳でもないのに、僕の心はときめいていた。
貴女は一瞬立ち止まり僕の方を振り向いた気がした。
そしてすべての時間が止まったかの様に、僕は貴女に釘付けになりました。
一目惚れとはまた違う、始めて経験する新鮮な感覚。
北風が冷たく吹き抜ける僕の心に、その冷たい北風を押しのけるように、強く、暖かく、そして優しい新しい風が吹き抜けていきました。後ろ姿を見送る僕の心に少しばかりのぬくもりの余韻を残して貴女は雑踏に消えて行きました。
そして、今日の日のこの瞬間の出会いが貴女と僕の春風を探す恋物語の始まりでした。
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