おっさんでしょ!
ナカムシン
第1話 都落ち
バツ2
貯金少額
45歳
彼女いない歴 3年
お洒落のセンス 無し
フリーター
バブルが生み出した典型的なダメ人間。
女性には見向きもされない。
見た目も、イケてないやせ男。
自分の悪い所を書き出せば、どれだけでも書ける。
東京で8年。
意味もなく ただ、ダラダラ生きてきた。
今、食べる物も無い生活。
何故こうなったんだろう?
自分ではわかっている。
守る物が無いということ。
働く気力も、意味もわからない。
生まれつき器用だから、なんでも仕事は出来る。
工場・営業・経営・建築・アパレル・理美容・宝石・SE(システムエンジニア)
葬儀屋・DJ・調理師
長続きはしない。
自分だけに使う給料。
誰かの為に生きてきた訳でも無い。
金が無くなれば、親の脛をかじる日常。
最低だ。
親も若くない。
親が死ねば僕も生きていけないだろう。
それで良いと思ってた。
妻や子供が居れば・・・
人生違ったかな?
そうとも思わない。
好きでもない人と家族ゲームをする気もない。
愛がわからない。
愛する人が誰なのか。
愛する人が見つかれば、僕も変わるんだろうか…
45年間。
人を好きになったことは無い。
この先も同じだろう。
田舎に帰るかな。
東京に居ても、何もない。
全てを自由にさせてくれて
僕を育ててくれた親の為に生きるのもいいかな・・・
フリーターといっても、仕事には責任がある。
西武新宿沿線での主要駅にある飲食店で8年、僕の事を知らない社員は居ないだろう。電車が止まれば、店内は人で溢れる。
戦争のような状態になる。
新人正社員の登竜門的な場所。
僕は正社員ではなかったが、その場所が好きだった。
生きている実感が感じられる場所。
その場所を去り、田舎で仕事が見つかるのだろうか?
不安を持ちながら、両親に帰郷する事を告げたのは2017年1月。
何年振りだろう。
親の顔をみるのは・・・
西武新宿線から山の手線に乗り換え品川駅へ、
夜の都会の風景。
見飽きていたけど、帰る時は新鮮に見えた。
田舎に戻って何か変わるのかな?
あまり考えたく無い。
何も考えず働こうと誓い。
真っ暗な田舎へ戻った。
何年経っても変わっていない風景。
実家近くのコンビニに寄り酒を買う。
周りの人間の服を見て、東京ではない事を実感する。
僕に服のセンスは無いが、東京の周りには居ない服のセンス。
いつかそれすらも見慣れてしまうのだろうか・・・
何も無かったけど、東京に戻りたくなる。
戦国時代の都落ちとは、こういう事なのか・・・
仕事見つかるかな?
不安がさらに僕を押し潰してくる。
実家に戻ると、見慣れない猫が玄関で泣いてる。
僕の顔を見ても怖がらない。
優しく頭をなでると喉を鳴らしてくる。
久しぶりに見る両親は老いていた。
懐かしい匂いと、猫、家族。
心が震えた。
安らぐ場所だったはずの場所なのに、
戻りたくはない場所。
育った環境で、心が崩壊した場所なのに。
帰る場所はここしかないのか・・・
自分の部屋へ行くと、
上京した日から全く変わっていない。
パソコン・TV・オーディオ全て当時のままだった。
溜息を付きながら。
2017年1月15日
45歳人生の再スタートを誓う。
まずは職探しだ!
第2話へ
■作者より
第1話 ご覧頂き有難うございます。
この話は、現在進行形の物語です。
45歳ダメオヤジと34歳シングルマザーの恋愛物語です。
世の中のダメ人間に、希望を!
あきらめないでほしいと思い書きます。
全ての方に、幸せな奇跡が起こる事を、心よりお祈りいたします。
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