山梨県編2.-やっぱり桃は美味ぇ!-

「桃、うんめぇぇぇ!」

「どんどんお食べ。美味しいからの」

働くにあたり、僕は桃を食べさせてもらうことになった。

ジリリリリーと始業の鐘が鳴る。

「さ、じゃあ働いてもらおうか。」

仕事内容はいたって簡単。均等に切られた桃を缶に詰めていくだけだ。10人いる中の8人目だ。

だが。

「む、難……」

以外と難しかった。缶を載せる台は動くタイプだし、数を間違えたら取り返せない。最終的には工場長が確認してくれるのだが、恐らく僕がやった分だけ、量が多かったり少なかったり。

よし、と僕は思う。この缶詰めは8個入なので、4個ずつ両手に持っておけば良い!

うぇーい、簡単簡単!

「あ……」

調子に乗っていたら缶を倒した。既に桃が入っている缶も含めて。

「ご、ごめんなさい……先から……」

駄目だ。不器用すぎる。片手しかない人も居て、その人はちゃんと8個入れているのに、何も不自由が無い僕が出来なくてどうする。

慌てない、慌てない。深呼吸をする。よく考えれば、台の動きは遅い。5秒で80cmといったところだろう。

すると、段々出来るようになってきた。今度は調子に乗って缶を倒すことがない。


どうにか終業まで働き、僕は日給2000円を手に入れることが出来た。

「2000円!?高くないですか?」

工場長室で渡してもらう。

「良いんだよ。ちゃんと働いてくれたしね。倒してもきちんと反省していただろう?」

あ、分かっていたんだ、工場長このひと

あ「あ、有難う御座います!今日は僕、この桃を1缶、買って帰ろうと思います」

「おお!それが良い。美味しいからの」

本当は1000円のところを800円にしてもらった。缶をリュックサックに仕舞う。

「では、有難う御座いました!皆さん、さようなら!」

工場長室から出て、工場員の人々へ挨拶をする。

すると正男が、

「おい!いつか、また働きに来いよ、今回は何も出来なかったが、今度は何か奢ってやるからな!」

と言ってくれる。ああ、今度来たら、宜しくな、と返し、僕は工場を後にした。





後書き

桃(ていうか果物)って美味しいですよねぇ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る