埼玉県編2.-雛人形工場見学-

「すみませんあの……」

「おおさっきの!どうした?買う気になったかい?」

「いえ違うんです、雛人形ってどのように作られているのかって疑問に思いまして」

「おおそうか、此処から3km向こうに工場が有る。そこにアポを取ってやるから少し待っていてくれ」

 数分後。

「大歓迎だそうだ。行ってやってくれ」

 店長にお礼を言ってから出発する。

 暫く歩くと小さい工場が見えてきた。

「こんにちはー。先程中家雛人形店の店長から電話が有ったと思うのですが、こちらですか?」

「おお君か!見ていっておくれ!」

 工場長らしき人が言う。

 此処は、江戸時代に流行ったと言われる、「享保雛」を作っている店らしい。着物も綺麗だ。

「すげー……」

 一つ一つ手作りなのにこんなに丁寧。

「あの、享保雛って今は需要があるのですか?」

「今でも一部のお客様から人気が有ってなあ。儲かってはいないが潰れもしない、そういう状況だよ」

 とっても良いものを見させてもらった。何故だか少し元気が出てきた。丁寧な物は人を元気付けるのだろうか。


「有難う御座いましたー。またいつか!」

 数十人の工場の人が見送ってくれる。まだ次の行き先は決めていないが、行き当たりばったりの旅である。歩いているうちに何処かへ着くだろう。

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