開始
2023年、4月3日。
あの日から三年の月日が経ち、遂に『
三年の間、様々な事が起こった。
中学2年生の少年による連続殺人。インターネットで起こった殺人動画事件。丸場総理玉砕事件…
多分、この三年間は日本にとっては変化期だったのだろう。人々は、2020年以前よりも邪悪で、凶悪な顔つきをしている。
年々凶悪犯罪は増加し、不良の数も増加。何もかもが廃れた時代になっていた。
『――――まもなく、『脳科学的・心理学的犯罪欲求抑制法』を開始します。国民の皆さんは、いつも通りの生活を送ってください。まもなく、午後0時をお知らせします――』
国民は恐怖に満ちた顔を浮かべている。
何が起こるのか、何をされるのか、マスコミでも一切報道されない。
国民は今日から、いつまで続くかわからない恐怖に襲われるのだ。
サイレンが日本中に鳴り響き、国民はサイレンが鳴る方へと足を運ぶ。
ある人物は泣きそうな表情を、ある人物は怒り狂った表情を、ある人物はそのサイレンに拝んでいる。
サイレンは午後0時丁度に鳴り、午後0時2分に鳴りやんだ。それまでのサイレンは、唸るような低音と、悲鳴のように叫ぶような高音が鳴っていた――
「……終わった?」
国民たちは一斉に身体を弄る。だが何も変わったことはない。周りの風景も、周りの人々も何も変わらない。
「…なんだよ……結局、脅しかよ!あの丸場の野郎!死んでもこr――」
そう叫んだ眼鏡をかけた青年は、人々からの視線に気づいた。
普通に考えても、そう叫べば人々の視線に目が入るだろう。
だが、何かが違う。
彼らの視線は、青年ではなく、青年の奥。
青年はゆっくりと辺りを見る。
――後ろには、ニッコリと笑った男がいた。
男は青年の名前を呟き、こう呟いた。
「永田瑞君、君はデラシオによって判断され、検挙する必要が出たんだ。良かったな!これで君が検挙者17人目だ!」
男は青年を捕まえる。青年は叫びながら、周りに助けを求める。
無我夢中で、青年は男から離れようともがくが、男はびくともしない。
青年は泣き叫び、鼻水を漏らしながら、周りに必死の思いで助けを求める。
だが、周りの人々は恐怖なのか、足を動かさない。
青年は泣き叫びながら、いやだいやだと叫ぶ。
男はニッコリと笑みを浮かべながら青年にこう言った。
『――これ以上叫ぶと、
男の笑みは、明らかに狂気に満ちている。
笑っているが、目が笑っていないどころか、口すらも笑っているのか分からなくなるほど、男の笑みは狂気に満ちている。
青年はその恐怖に失禁し、項垂れて何も言わなくなった。
男は「偉い偉い」と言って、青年をどこかに連れ去った。
――4月3日(デラシオ法案開始日)。全国検挙者、16903人。男女比、男6割女5割。内デラシオ法案、12602人。男女比、男5割女5割、凶悪犯罪に繋がる可能性のある人物率、71%。
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