ループの新しい可能性を探ろう! 企画

1.反省とお礼

 本企画は、現在にいたるまでなおネタとして多用されるループという概念をもう少し広義に捉え、新しい切り口を見せられないか……という主旨で実施いたしました。


 企画募集時のアナウンスは以下の通りです。


**ここから**


 結局テンプレ、使い古しのネタばっかじゃんか! そう憤慨する前に、手垢に塗れているように思えるネタの可能性を、もう一度しっかり見直してみようという企画です。


 ネタはループ。これまで散々こき使われてきた素材ですね。でも、本当にそうかな? こんな使い方も出来るんちゃうの? そういうチャレンジを募集します。ジャンル、文量、完結済みかどうかは一切制限いたしません。

 ただ、趣旨が『新しい可能性を探ること』ですから、これまで多用されているタイムループ(話の分岐点まで時間が戻る、能力者が時間を巻き戻す等)、フェイトループ(何度でも生まれ変わる、同じ運命を繰り返す等)は、調理法を工夫されない限り新奇性をうたうには苦しいかなと思います。ループを使った小説を読みたい、ではありません。あくまでも、素材もしくはその調理に新味が必要です。


 話として完結していなくても、ループの使われ方が明示されていればおっけーです。こんな使い方どうかなというプロットやデッサン的なものでも全然かまいません。逆に、後半ネタを出すんだから最初は我慢してくれというのは評価しようがないのでちょっと……。長編の場合は、話の中心軸にループがしっかり組み込まれていること、それをなんらかの形(紹介文、コメント等)で明示していただくことを参加条件とします。

 レギュレーションがゆるゆるですが、そのゆるい条件すら満たせないものは誰からも読んでもらえませんので、どうかご承知おきください。敷居の低い企画ですので開催期間は短めに設定しますが、応募が少ないようなら延長しますし、多すぎて読めなさそうなら短縮いたします。


 企画主催者として、ネタの切り口、使い方が新しいかどうかという観点に絞って読ませていただきます。その小説全体を通読、評価することは確約いたしません。個々のネタの新奇性、企画全体を通しての印象を、後日サマライズしてご報告したいと思います。


 一種のネタ展示会、ネタアーカイブみたいなイメージで考えてくださるとうれしいです。どのくらいの方が乗ってくださるかわかりませんが、奮ってご参加ください。


**ここまで**


 で。


 ざっと検索してみたんですが、カクヨム内でループ、もしくはそれを含むタグが15種類、作品数も少なくとも三桁以上あるということが分かりました。タグにループを明示していなくても材料として使っている例があるでしょうから、実際には作品数はもっと多いでしょう。そして、それらの作品の紹介文を読む限り、そのほとんどがタイムループもしくはフェイトループ(業や運命が繰り返されるループ)なんですよね。

 タイムループもフェイトループも、とてもこなれたネタです。それらのループを中軸に据えたプロの名作も多いですから、どうしても読者の目が厳しくなります。著者がネタとして使いこなせなければ、すぐに既視感の餌食になるだろうなあ、と。わたしがタイムループとフェイトループを事前に牽制したのには、そういう背景があります。

 ですが、その辺りの書きぶりが実に難しい。わたしは、タイムループやフェイトループが古臭いネタだというつもりはないんです。ネタはあくまでもネタ。それらのループ概念は大ネタの上に使用例が多いので、新味やオリジナリティを打ち出すのが難しいかなと懸念したんですよね。でも、印象は作者の手腕次第でいかようにも変わります。あとで若干文言を調整しましたが、その辺りの説明がちょっと短絡的で言葉足らずだったかもしれません。わたしの大きな反省点です。


 今回の企画の条件提示は、字数、完結しているかどうか、ジャンルを一切問わず、アイデアやプロットの提案でも構わないという、かなりノイズ覚悟のリスキーなものだったかなあと思います。にも関わらず、企画にエントリーされた24編のうち、わたしの提示した条件を満たしてくださった20編は粒揃いで、いずれ劣らぬ意欲作でした。至らない企画主催者としては、感謝感激の一言です。企画者冥利に尽きますね。本当にありがとうございます。アイデアのアーカイブ、もしくはショーケースとして使っていただけるんじゃないかなと、ちょびっと期待しております。


 今回の経験を活かして、作者さんの参加意欲を刺激出来るような企画を、また考えたいと思います。

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