第10話

次の日。

昨日の大雨が嘘のように、空は晴れていた。


昇降口に入れば、私を待っていたはるかに飛びつかれてバランスを崩す。ちょっと、と言おうとすれば彼女の目には涙が浮かんでいて。


胸がきゅっと縮んで、

でも、温かくて。


「ごめん、心配かけて。」


私のその言葉にいよいよ泣き出すはるか。


「ほんとだよ。心配ばっかかけて!」

「ごめんね」


そう言ってはるかの涙をぬぐえば、

彼女の頬はこんなにも温かい。


「・・・いつも、ありがとう」

「・・・っ・・馬鹿。」


私の頭を小突いて、涙を溜めて笑う。

はるかは私の息苦しさを吸い取ってくれる、


太陽みたいな親友だ。

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