覚悟

「そのまさかよ。モイ・ラレル。」

 ツカツカと高いヒールの足音を立てながら、ローラが近づいてきた。

「なんでこんなところにいるって感じね。大学を主席で卒業したあなたにはわからないことよ。」

 ローラはメカニック系の大学を卒業したあと、主席を取れず、両親にはひどい扱いを受けた。大学で2番目の子はいらないと家を追い出されたのだ。ローラは愛を知らなかった。荷物をまとめ、家を出ていき、とぼとぼと街を歩いていると一台の真っ黒な車がローラの傍を止まった。

 車の後部座席の窓が下がり、男性の顔が見える。

「ローラ・ランジュ。君の成績を見たよ。主席を逃したようだね。」

「あ、あなたは一体・・・。」

「しかしメカニックの才能はあるのを私は知っているよ。私と一緒に来ないかね。」

 その時、ローラは愛を知った。彼は名乗り、ジャスティンと言った。自分を必要とされている人物と出会ったのだ。心が暖かかった。

 ローラは一つ返事でOKした。そして、ミルの開発を頼まれたのだった。


「お願いローラ。ミルちゃんを止めて!これ以上ミルちゃんを起動してたら街がもっと大変なことに。」

「あら、ということはその子を破壊してもいいってこと?」

「そういうことじゃない!止めるパスコード知ってるんでしょう!?お願い!」

「それは無理な相談ね。私はあの方の味方よ。」

「じゃあ、無理にでも解析するわ。コンピュータ借りるわよ!」

「お好きにどうぞ。」

 ローラは解析されない絶対の自信を持っていた。あなたにはわかるわけがない。


 

 そのころ、ミルとラグランは戦っていた。というより、ラグランは防戦一方だ。

「ミル!目を覚ませ!」

 ミルは大振りのレーザーブレードを右手に出現させ、ラグランを排除しようとする。

 それをラグランはすんでの所で交わすが、先ほどの戦闘のダメージで思うように体が動かない。このままではやられる。そして、ついにブレードはラグランの腕を切り付けた。腕が焼けるように熱い。

「くっ・・・!モイ!ミルを止める方法はないのか!」

「待って・・・!もう少しで分かりそうなの!」


 モイは解析はできた。しかし、絶望的な結果になった。

「ローラ・・・あなた・・・そこまでして・・・。」

「解析できないと思ってたけど、さすがね。それでも、あなたにソレができるかしら?」

「くっ・・・。」

 モイはその事実に戸惑いを見せた。

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