戦闘 

「ミル・・・!!」

 ラグランは戸惑う。なんでこんなミルがこんな格好に?まるで戦闘型のアンドロイドの様相だ。

 思わずモイに事情を小声で訊いてみる。

『おい、どういうことだモイ。安全装置があればあんな風にはならないはずじゃあ・・・。』

『私にもわからない・・・。右腕に確かに安全装置を装備しているに・・・。解除する技術を持った人にしか・・・。』

 モイは小さなノートパソコンを抱えながら室内をキョロキョロと見渡している。

 

 対する大統領ジャスティンはミルをいやらしく撫でる。顔に、腕に、足に。

 ミルに表情はない。

 それを見たラグランは肌がざわつく。憤りだ。左拳を正拳に構え、ジャスティンへと向かう。

「やめろ、親父ーー!」

「待ってよ、君の相手はボクだ。」

 サッと目の前に現れるアクセル。ラグランは左拳を相手に振るうが、アクセルが右手で難なく受け止める。

 そして、アクセルは光り、戦闘型ロボットへと変わる。

「くそっ!またか。行くぞ、ルーン!」

「うん!」

 アーマー端末を片手に、2人は叫ぶ!

『アーマーリリース!!』

 そして、2人はアンドロイドに匹敵するような装備を装着される。

 ラグランは銃を、ルーンは短いライトソード二丁を構える。

 絶対助けてやる、ミル、心にそう誓いラグランは銃をアクセルに向けて撃つ。

 装甲に穴が開く!

「へえ、前よりパワーアップしたみたいだね。」

 感心したようにつぶやくアクセル。弱ったような様子はいくらも見せない。

「こんどはこっちからの攻撃だよ・・・!」

 ルーンがきりもみながら2丁の短剣を操る。

 するとロボットであるアクセルの左腕が切り落とされた・・・!!

「へえ!やるじゃん、ルーンくん、だっけ?その言葉、そのまま返すよ。」

 アクセルが右腕の中にある玉からレーザーが放出される!

 とっさにルーンは2丁の短剣を交互に構え、衝撃に備える。

 しかし、耐えられず弾き飛ばされてしまう!

「ルーン!!!!」

 ラグランがルーンの元へと急いで駆け寄る。

「だ、大丈夫。アーマーのおかげかな・・・。」

 ウインクしながら、余裕を見せるルーン。しかし、大量の汗をかいている。先ほどの攻撃で相当エネルギーを消耗したようだ。

「立てるか?俺一人じゃ手に負えそうにない。お前が頼りだ。」

「う、うん。ミルちゃん助けたいもんね。」

 その様子を静観しているアクセル。人の姿だったら頭をかいていそうだ。そして、発言する。

「もうそろそろとどめ刺していいかなあ、ジャスティン。」

「ああ、かまわんよ。」

 ジャスティンは相変わらずミルを愛でながら余裕の表情で言う。


 ルーンが立つのを助けたら、素早く二人は攻撃態勢に入る。

 小声で作戦を練る二人。

『もしかしたら、あの手の中のレーザー口を破壊すればエネルギーが暴発するかもしれん。俺がけん制してる間にルーンがあのレーザー口を狙ってくれ。』

『わかった。ボクは弱いからちゃんと守ってよ、ラグ!』

『おう、まかせろ。行くぞ、ルーン!3,2,1, GO!』

 二手に分かれる二人。ラグランはアクセルから離れたところへ、ルーンは手を狙いやすくするために恐々アクセルの近くに。

「へえ、なにをしてくれるのかな?」

 余裕を見せるアクセル。

「お前の相手は俺だ!!!アクセル!」

「なんだ、やっとボクと戦ってくれるんだね。嬉しいよ。」

 ラグランは適当に相手を撃ちまくる。

「そんなんじゃ効かないよ。たとえボクの体に穴が開いてもね。」

 すると再びアクセルは左腕をまっすぐ構え、レーザー口を開く。

「今だ!ルーン!」

「うん!」

 そして、残りの精一杯の力でルーンは短剣2丁をレーザー口へ差し込む。

「これで終わりだああああ!!」

「なっ・・・!!」

 人型だったら驚愕の表情・・・が見えるような気がした。

 レーザー口からヒビが入った途端、ルーンは距離をとる。

「ジャスティン・・・!たす・・けて・・・!」

 そうつぶやきながら、アクセルは爆散した。爆発した欠片が方々に飛び散る。とっさにモイに駆け寄り、ラグランはモイを庇う。

「くっ・・・!」

 ラグランの背中に細かい破片が無数に刺さる。

 ルーンは短剣で破片を起用に弾き飛ばすが、全てをはじき返す体力はなく、腕と足に少し破片が刺さる。


 そして、静寂に包まれる。

「大丈夫か、モイ。」

「ええ・・・それよりラグランの方が心配だわ。」

「俺は動けるから大丈夫だ。」

「今、ここにあるコンピュータにアクセスをかけてみる。誰がミルちゃんにこんなことをしたのかを調べるためにね。」

「そっちは任せた。俺は親父をどうにかする。」

「ええ、サイバー関係は任せて!」


 どこからか、拍手が聞こえる。

 ミルとジャスティンがあれだけの爆発に無傷なのはの前方に薄青色のシールドが張られていたからだった。

「よくやったね、ラグラン。」

「親父・・・!」

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