大統領の・・・

「ラグランって、大統領の息子だったの!?」

 驚いてからの第一声はルーンだった。

「でも、なんで大統領の息子がこんなところに・・・。」

 疑問に思い、ルーンが尋ねる。

「俺は母親が病気で亡くなったのを機に家を出た。親父は別に反対しなかったよ。俺に対して無関心と言っていいかもな。・・・だが、今回の戦闘用アンドロイドの件。今は俺に無関心というわけではなさそうだ。」

「でも、実の息子を殺しにかかるっていうのはどうも・・・。」

 ルーンはそう言って下を俯きそのまま黙り込んでしまった。

 

 しばらくの静寂ののち・・・。

「待って!アンドロイド、アンドロイド・・・。」

「どうした。モイ。」

「みんな、ちょっとメカニックルームに移動してもらっても大丈夫?」

「ああ、それは構わんが。」

 ラグランが代表して、発言したのだった。


 皆がメカニックルームに移動した後、モイがミルに声をかける。

「ミルちゃん、ごめんね。ちょっと首の後ろに端末繋げるけどいい?もしかしたら少し痛いかもしれないの。」

「は、はい。ボクは構いませんが・・・。」

「じゃあ、ちょっと失礼して・・・と。」

 ミルを椅子に座らせ、ガチャン!とかなり大きな音を立ててミルの首の後ろに太いチューブを繋げる。

「随分、大仰じゃないか。」

 ラグランが少し驚いたように言う。

「もう少し、深く分析するためには大きな端末を使わなければならないの。もしかしたらって思って。」

「ミルちゃん、行くわよ。」

「は、はい!」

 モイが端末のキーボードをはじく。

 するとミルの首が後ろへとガクン!と素早く下がる。

「あ、ああ・・・。」

 ミルの髪色が赤へと変わり、苦痛に呻く。

「ごめんね、ミルちゃん。少しの間だから・・・!えっと、これじゃない!これでもない!」

 ミルの苦痛が続く。すると、椅子から崩れ落ちそうになるのをとっさに支えるラグラン。

「おい!モイ!早くしろ!」

「わかってるわ!・・・・・うん、たぶんこれだわ。一致した。」

 ブウゥン・・・。という音と共にミルの苦痛が終わる。ミルは機能停止に追い込まれてしまった。

「おい、ミル!しっかりしろ!おい!モイ!チューブはもう外していいんだよな!?」

「え、ええ!構わないわ!」

 ガチャン!と再び大仰な音をたて、ミルの首の後ろからチューブを外すラグラン。それと共に髪色も元の水色に戻っている。

「おい、起きてくれ・・・頼む・・・。」

 ミルを強く抱きしめながら懇願するラグラン。

「・・・・ラグラン・・・痛いです・・・。」

「う。す、すまん。」

「ボクは大丈夫・・・です・・・。」

 すぅ・・・と、そのままラグランの腕にもたれ意識を失ってしまった。

「おい!ミル!」

「大丈夫よ。ただ眠ってるだけだわ。」

「そうか。よかった・・・。」

「ラグラン・・・ミルちゃんが来てから変わったわね。」

「そうか?」

 ラグランにはよくわからなかった。とっさにミルの傍に寄ってしまったのだ。

「それより、これだけのことをして、わかったことはあるんだろうな。」


 モイが一呼吸置いて。

「ええ・・・。大変なことよ・・・。」

 そう、つぶやくのだった。

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