第20話 大学入試頑張りました
【1月16日(土)17日(日)】
1月16日(土)17日(日)にセンター試験があった。国公立薬学部のセンター試験受験科目は5教科7科目。センター試験得点率85%、偏差値65が合格圏。自己採点の結果では大丈夫みたい。
2次試験まではあと40日位なので、2次試験の科目の数学、化学、英語の3科目に絞って、最後の追い込み。絶対合格する!
【2月25日(土)】
前期日程の試験は2月25日(土)だった。前日に試験場の確認に出かけ、当日は朝早く、余裕をもって出かけた。むずかしかったけどなんとかできた。
試験が終わって私は4時半ごろに帰宅した。疲れた。圭さんが心配そうに「どうだった」と聞く。「全力を尽くしたから、悔いはありません」といって、ソファーに寝転んだら眠ってしまった。
カレーの匂いで目が覚めた。もう6時過ぎだった。圭さんが毛布を掛けてくれたみたい。ありがとう。圭さんが夕食にカレーライスを作ってくれていた。目をこすりながらテーブルへ。
「ごめんなさい。疲れていたみたいで、眠ってしまって」
「夕飯はカレーを作ってみた。気に入るかわからないけど」
「すみません。今日はごちそうになります」
「疲れたみたいだね。14年前を思い出すよ。僕も帰ってすぐに眠ったのを覚えている。本当に受験なんか2度としたくない」
「受験させてもらってありがとうございました。がんばりました。合格すると良いけど」
「あれだけがんばったんだから、良いじゃないか。悔いはないだろう」
「はい。明日から家事はすべて私がやります。長い間のご協力感謝します」
「当然のことだから気にしないで」
「明日、学校へ行って佐藤先生に報告してきます。卒業式は3月4日(土)、合格発表の6日(月)は私一人で見に行ってきます」
「分かった。不合格なら後期日程で頑張れば良い」
「今日は抱いて下さい。頭を空っぽにしたいから」
「良いよ。久しぶりだから思いっきり」
久しぶりに幸せな思いに浸ってその中で漂っていると、圭さんがそっと後ろから身体で包んでくれる。背中が温かくて心地よい。
「結婚してこんなに優しく愛してもらうようになってもう8か月になります。いやいやさせられていた期間よりもずっと長くなって悪い夢も見なくなりました。今、私とっても幸せです。これからもこの幸せがずっと続くように毎日神様にお祈りしています」
私は圭さんの腕を力一杯握り締める。
「美香ちゃんが幸せと思っていてくれて嬉しい。悪いことが忘れられてよかった。これからも優しくするよ」
圭さんの腕に力が入って力一杯抱き締めてくる。息が詰まるほど苦しい。でもとても嬉しい。
【3月4日(土)】
3月4日(土)の卒業式は佐藤先生や副校長へのお礼の挨拶もあるので、2人で臨んだ。佐藤先生に挨拶すると、お二人のおかげで僕たちも結婚できたと反対にお礼を言われた。山崎先生とは既に入籍して一緒に暮らしているが、春休み中に式を挙げると言っていた。
私は、いつもはネックレスに通して目立たないようにしていた婚約指輪と結婚指輪を、今日は左手の薬指に着けた。圭さんに無事に高校を卒業できたことを感謝したいから。今日からはずっと着けていよう。
【3月6日(月)】
3月6日(月)合格発表の日の朝、私は一人で見に行くと圭さんに言った。発表は午後1時。
「不合格でも、絶対に電車に飛び込んだりしないで、そんなことをしたら悲しくて僕も電車に飛び込むよ」
「そんなことは絶対ありません。ご心配なく」
「後期日程もあるからあきらめないで」
「大丈夫です」
圭さんは「結果が分かったら電話かメールをして」と言って出勤した。
どきどきして、発表の番号を探す。なぜか合格していると思っていた。自分の番号を見つけてほっとした。急いで、圭さんに電話して報告した。
圭さんが「ほっとしたよ」というのを聞いて、嬉しさが込み上げてきた。これで頑張って卒業すれば圭さんに恩返しできる。本当に合格出来て良かった。
7時前にドアのカギを開ける音がする。圭さんだ。とんでいって抱きつく。
「合格おめでとう」
「ありがとう。圭さんのお陰です。とっても嬉しい」
「美香ちゃんの努力の結果だよ。肩の荷が下りた」
「合格発表の帰りに五反田のお寺の両親のお墓に合格を報告してきました」
「それはよかった」
それから、お礼を込めて一生懸命に作った夕食を2人で食べた。こんなに嬉しい思いで食べる夕食は結婚した時以来で久しぶり。
夕食を片付けた後、2人でお風呂に入って、身体を洗いあって、寝室へ。私はすぐに圭さんにしがみつく。そしたら、涙が出て来て、どうしようもなくなって、わんわんと大声で泣きだしてしまった。こんなに泣いたのは結婚式の日以来。どうも私はとても嬉しいことがあると大声で泣いてしまうみたい。
圭さんもそれが分かっていて、強く抱き締めて思いっきり泣かせてくれる。大声で泣いたらすっきりした。泣き止んだ私を圭さんがいつものように優しい目で見ている。私は照れくさくなって「これからは思う存分できる」といって笑顔を見せたら、圭さんは声を出して笑った。それからは何もかも忘れてひたすら愛し合った。
時計を見たらもう12時近く。快感にどっぷり浸っている私は身体からすっかり力が抜けてもう動けない。
「おしっこがしたいけど、腰がだるくて歩けないんです。トイレに連れて行って下さい。お願いします」
「僕も疲れているけど、なんとか連れてってあげる。それまで我慢して」
圭さんは、私を抱っこしてふらふらしながらトイレまで連れていってくれた。
「終わるまで前で待って居て、お願いします」
私がでてくると圭さんも入る。私は立っていられずその場にしゃがみ込む。
「寝室まで抱っこしていって下さい。お願いします」
「もうかんべん、おんぶにしてくれ」
私は寝室までおんぶしてもらった。覚えているのはそこまで。疲れた・・・。でも心地よい疲労。2人倒れ込んで深い眠りに落ちたみたい。めでたい夫婦!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます