黒板の建物
小学生の時、となり町の小さい神社前で、友人たちが来るのを待っていた。
一緒に来ていた友達と話していると、神社のとなりの建物が気になった。
黒い板で覆われ、窓も何もない。どこが入り口なのかも分からない。
友人によると、その建物には、消火に使う水が貯められているという話だった。
よく見ると、道路に面した壁に、給水口が付いていた。
真っ暗闇。たゆたう水面。その中に閉じ込められる私。
ひとり勝手に怖がっていると、友が付け加えた。
「中に藻が生えないように、鯉を泳がせているらしいよ」
闇の世界を輝きながら泳ぐ生き物たち。
パウル・クレーの『黄金の魚』という画を見るたびに、上の話を思い出す。
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