ホオズキ

 小学生の時、近所のお寺に虫を探しに出かけた。

 石をどけて、その下にいる虫を捕まえようとしたところ、それほど大きな石ではないのに、動かすことができなかった。

 だいぶ地中まで埋まっているようだった。

 諦めて石の表面を見ると、なにやら漢字が彫られていた。

 人の名前のようであった。

 どうやら、だれかの墓石を掘り起こそうとしていたようで、慌てて家に帰った。

 その日の夜、次のような夢を見た。

 くだんの墓にホオズキが供えてある。

 朱色の花が割れて、中から般若の面が出てきた。

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