終着点

 赤色が満ちる星の中。俺様は独りで嗤い続けた。神も人間も無い、俺様呪いだけの世界で、音の嘲りが木霊する。腕に触れても脚に触れても貌に触れても粘り憑き、赤の臭いで嘔吐えずく程度。泥の如き酸味が墜ちて、堕ちる己も色の囚人。死刑を待ち望む罪が如く、俺様は悦びに身を震わせて――思考は停止を赦されぬ。嗜好は喪失を赦されぬ。俺様は結局、物語を綴る『もの』にも見棄てられ、最悪の時を永劫的に……此れが最も至福な終着で在る。執着に狂った俺様に相応しい最果てだ。魔法使いは最後まで『不条理』に生きたのだ。超常の渦で活きたのだ。創造と破壊の狭間で想像する人類。夢を叶えた人間の表情。総てが泡と成り弾け、俺様はもはや人間ではない。何故か。思考したものを誰に話す。誰に語るべきか。ああ。視よ。赤色の囁く平穏を。ああ。視よ。赤色の呟く無意味を。俺様に俺様など最初から無かったのだ――何。俺様が最初から無かった。赤色の無限。真逆マサカな。真逆、俺様が至った現状が【Yog-Sothoth】だと説けるのか。解けたのか。ならば融ける己も【Yog-Sothoth】そのもの――ヒヒヒッ――奴め。筆を折る言い訳など。血族の願いはのだ。楽園と地獄は繋がった。再生の時だ。再開の時だ。否定された物毎は赤色に染まり、人類に肯定を与える。さあ。大いなる存在。虹に無輝なる赤の泥……IA! IA!

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