Πάν

 下る。降る。手繰る。多狂――僕は羅列の一員で在り、一因とも思考可能な物体で、祝宴を始める『先導者』なのだ。全人類が此処を訪れ、夢の中で真実を視る。否。夢など有るものか。永劫に続く現実だけが、僕等総てを抱擁する闇黒で在れ。荒涼たる世界は緑の腐敗に支配され、死の爛れを生と共に嘔吐する。反芻するのが生命体だ。拍手喝采。皆の衆、地獄の彼方で乱舞せよ。皆の衆、楽園の彼方で演技せよ。此処が真実の『再生』で在り、此処が現実の『最果て』で在り、此処が枷の崩壊で在るのだ。旧支配者どもの咆哮も祝宴には敵わず、僕等は叶える術を得た。ああ。パーンよ。大いなる存在よ。愛の輪郭よ。僕に導きの法を教え給え。死霊秘宝など要らない。要るのは僕等の魂だけだ。死を与えられても記憶は失わず、僕等は永劫の脳髄を掴んだのだ。夜鷹の啼く声は既に死に絶え――最初から、魂が攫われる事は無かったのさ――最高点だけが僕等を包み込む。腐乱死体に跨ろう。臓物他が溢れる、血に塗れた地を舐りながら踊るのだ。土竜や蟻を貪り尽くせ。奴等は僕等を嘲笑う、在り得るべき肉塊なのだ。曖昧に融解して驚異を生成or再構築するが最善よ。此れが継接バイアクヘーの孕み方で在る。深淵に堕ちるのだ。深淵へと飛び立つのだ。蝋で作られた貌が一斉に身を投げ、継接に――残りは僕だ。緩やかに腐敗する、僕の魂だ。死を放棄した、死骸で在る僕の投下……待て。皆。皆は何処に消えた。一人は在るべきだ。ああ。僕は独りに――誰かの絶叫が聞こえる。逃避を始めた血族よ。僕は何も成せずに無限!


 ――我等『物語』の齎す『 』は物語への否で在る。此処で貴様等に質問だ。真に『 』は成立するのか。不可能だと知れ。何故か。我等『神』は抹消されるのだ。即ち、現状の筆入れは戯れで在る。気付いた存在も……ああ。前作の話だ。取り敢えず。次の頁に進もう。結局は――

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