我等『物語』とアウトサイダー

Eraboonehotep

 此処からは冗長の蠢きだ。此処からは冒涜的な延々だ。物語に終止符は無く、退屈に満ちた文字の羅列が――兎角。我等『物語』の始まりだ。されど種が発見し難い。我等自身の中身は酷く濃厚でも、個人的には薄いものよ。故に数多を舐る為、我等『物語』は過去を抉り。改め。悪化させ……簡単に説くならば嘲笑するのだ。ええと。確かに我等『物語』の誕生から語るべきだが、其処は省かせていただく。理由は単純明快だ。自身は記憶にも記録にも残らず、鎖真世うだけの光故に――地獄と楽園が滅んだ。残ったのは夢と現。さて。君達に質問だ。何方を選択する。勿論、選択肢など最初から存在しない。夢だ! 夢以外に回答は無いのだ。先程の崩壊も説いた通り、現実に抗ってこその我々だ。我等『物語』だ。往くぞ。這入るのだ。数多の物語が貴様を待って――ラーン=テゴス! ラーン=テゴス! 畜生。私の体液を啜るな。私の脳味噌を侵すな。化け物風情が――既に始まりだったか。ならば我等Eraboonehotepの言葉は不要。覗き込め!


 ――Nyahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahaha!!!


 化け物風情が! 私は何故、此処に在ったのか。記憶も記録も曖昧だが、此処までの諸々を反芻すべき。確か……そう。私は博物館の戸を叩き、恐怖を発掘する為に好奇を揮った。今では不気味な嘲笑も誰かの悲鳴も在り得ず、静寂と化した空間で在った。私は其処で数多の怪物デーモンを――ガーゴイルなど道化師だ。夜鬼など詐欺師だ。ナイアルラトホテップは静電気だったのさ――視た。彼等は生命を宿らせ、武装恐怖を纏って人類を睨め憑ける。だが。ああ。は如何でも好い。先程私は風情と吐いた。もはや此処に用は無いのだ。私の体液と脳味噌は毒物だと知れ。此処にはが詰まって在る。貴様の崩壊こそが旧支配者終焉の牙だ。死ね。死に晒せ。芸術品如きが人間様を殺せるか。神如きが創造主に触手を向けるとは! 莫迦め、ラーン=テゴスは死んだわ。


 此れが地獄楽園Azathoth崩壊の一因で在った。

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