malagma

 ぎぃぃぃぃぃ……ぎぃぃぃぃぃ……耳朶を貫く痛み……ぎゅるん……グルん……目玉を弄ぶ悦び……べたり……がしゃり……じゅぅぅぅぅぅ……肉が融ける臭い。道化師だ。私の隣に棲み憑いた友人は呟く。詐欺師だ。可笑しい。静電気ナイアルラトホテップなど扱い難い道具に過ぎない。ならば改悪者だ。在り得ない。私の友人の双眸は虚空らしい。機械仕掛チク・タクけなど仔共ダークヤング騙しに過ぎない。友人よ。私を恐怖だと想像するのは止め給え。普遍的かつ不変的な人間に失礼だ。歴史は永劫に反芻される。故に私も繰り返された結果終頁なのだ。ああ。笑顔が好い。友人の笑顔痙攣は最も嬉しい反応だと思う。何……成程。確かに『憑いた』のは私だろう。人間が他の人間を蝕む、当たり前が膨張した程度よ。友人は私が人間だと覚えた、己を滅ぼすと決断した。見物だ。実に見世物サーカスだ。自らを火刑に晒すなど、混沌の舌以外は無いかと……黙れだって。厭だね。私は友人で友人が私だ。二重人格など悲劇の種にも成らない。生じた最期は挨拶サヨウナラと! おい。おい。友人よ。如何した。咽喉に刃を向けるとは。気でも触れたのか。ならば再開しよう。再会しよう。ぎぃぃぃぃぃ……ぎぃぃぃぃぃ……耳朶を貫く痛み……ぎゅるん……グルん……目玉を弄ぶ悦び……べたり……がしゃり……じゅぅぅぅぅぅ……肉が融ける臭い……斬躯リ……坐縊り……ああ。また。死んで終った。可笑しいな。友人。私の友人は不死身の筈だ……てけり……てけり・り……そうだ。好いぞ。次は何を繋げようか。施そうか。直そうか。修復しようか。僕の背中に憑いた友人ショゴスよ。

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