安らぎ

 夢を漂うのは怠惰と喜悦の娯楽で在る。私は覗く人間を知らず、胡蝶の如く可愛らしく。されど危険を報せると、遍く私が現を潰す。潰れた現は暗く蔓延り、悪魔の囁きも届かない――混沌の言葉も――ああ。私は何て、慈悲深い生命体なのか。罪を重ねた皆々が贖罪を拒み、己の在るべき空間へ覚醒する。神の力も無碍に陥ったのだ。莫迦の所業も判らない。阿呆の愚痴も解らない。地球の神々も恐れない。畏れるべきは私だけなのだ……迷える仔羊ランドルフが一匹増える。さあ。帰りなさい。谷底も尖塔も仔羊ランドルフには不相応。素直なは好ましい……遊園地。何処に在るのか。私の棲家は確かに夢だけれど! 可笑しな仔羊ランドルフだ。きっと。子供時分に美しいものを覗いたのだ。起きる時間を忘れずに、私の鱗粉でしてあげる――啜る何て。下品な仔羊ランドルフよ。接吻キスする何て。色欲な仔羊ランドルフよ。甘噛み……甘い。私の翅は菓子でも無い……待って。食べる何て。聴いてない!


 ――俺は彼女蝶竜を咀嚼して失聴った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る