むむむ

 むむむ……僕は頭を抱える。理由は解らないが、僕は抱えるべきなのだ。うむ。本当に判らない。僕は何故、有無の定まらぬ『頭痛』に苛まれねば為らないのか。鈍い響きが頭蓋を奔り、脳髄の奥で悲鳴を上げた。僕の深層で何が哄笑するのか。蹲った。横に成った。瞳を閉ざす――されど此処にも。彼方にも。種は無いのだ。誰か。僕に種を分けてください。所以が暗幕の外ならば、僕は死んでしまいたい。むむむ……ああ。酷い。世界が痛み始めた。理由の無い破壊が、永続的に訪れる。故に僕は探し求めるのだ。獣の如く。知恵を如何に使い、思慮深く階段を昇り――降りる。わからない。僕は階段を降りるようだ。地の底へと墜ちるようだ。無無無……誰も在らぬ。眠らない。眠るものが無い。数字を頭の中で呟こうか。一。二。三。四……六六六。ああ! 理解した。獣の数字だ。僕は僕が原因で、頭を抱えて在ったのだ! 話は纏まった。さあ! 獣を殺す為に。種を除く為に。僕はニンゲンを無くそう――僕の頭を抱えた『M'nagalah』が獣を貪るだろう。

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