不登校でなにが悪い
まる
第1話
深夜3時24分、スマホから流れる非社会的音楽を止め、そろそろ寝ようかとうつ伏せになる
私はこの時間が大嫌いだ
なぜか?って
この時間は現実を直視しなければならないからだ
スマホを触っているときは何かと考えずに済む
要するに現実逃避ができる
しかしスマホを手放し寝ようとするこの30分はどうしても考える時間ができる
「明日もどうせ学校へは行かない」
「学校には居場所がない」
「家にも居場所がない」
「この先の人生はどうなるのだろうか」
「この世の中で生きていけるのだろうか」
「私が死んでも悲しむ人は誰もいない」
そんな現実を突きつけられる
毎回最終的には
「こんなんなら死んだほうが楽だ」
そう思って意識を手放す
最悪な時間だ
いつからだろうか
そんな最悪な時間が無くなったのは
いつものように昼前に起きて、家族とも会話のない日が始まった
ずっと部屋に閉じこもり非社会的音楽を聴きながらネットサーフィン
そんな時、あるまとめサイトを見つけた。
「「不登校でなにが悪い?」」
そのサイトには「不登校」を正当化する理屈がたくさん書いてある
「なんだこれ?」なんて思いながらも面白くて読み進める
最後にこんな項目を見た
「不登校はいいこと」
……なぜなら不登校の子は人よりも色々なことを経験し、つらいことも悲しいことも1人で抱え込み、そして1人で乗り越えてきた。
悩みや悲しみを1人で抱え込むのは良くない。と大人たちは言うが、そんな大人達はなんでもかんでも他人に話して解消しているのか??乗り越えているのか??
いいや、そんなこと出来るわけない。人それぞれ考え方は違うし、感じ方も違う。
そんな人々が相談し合ったところで解決策はない。そして人それぞれ色んな悩みを抱え、すべてを人に話すことが出来るわけではない。
大人になって、社会人になって、そんな状況で絶対他人に頼れるか?と問われたら多数の人が「いいえ」と答えるだろう。
1人で抱え込まずにいれたら、きっとこの世からうつ病を始めとする精神病は無くなる。
誰もが1度は経験する学生時代の時から、
1度も1人で抱え込むことを経験してこなかった人々が大人になって、初めて悩みを抱え込むことになった。そんな時、人々はうつ病を始めとする精神病になる。
ということは今は不登校かもしれないが、その不登校児がいずれ社会に出た時、きっと多少なことなら1人で乗り越えていける。
そんな乗り越えられた人がきっとこの世の中の上に立つ者だ。……
そう書かれていた。
なにを言ってやがるんだ、このサイトは
なーんて思ってそのサイトを閉じた私だが、それからというもの寝る前の最悪な30分は無くなった。
それから5年が経った今日、私は通信制高校を卒業した。
あのサイトを見てから1年後に通信制高校に転入し、4年間の学生期間を経て21歳で卒業した。
20歳の誕生日を迎えた時、「20歳でまだ高校生かよ。」と多くの人に言われたが、そんなのどうでもよかった。
勝手にそう思ってればいいじゃないか。
そんな状況を乗り越え、やっと卒業だ。
卒業後は就職先が決まっている。
私のこれまでのことを全て話して、それでも受け入れてくれた会社へ就職。
仕事内容は事務仕事。
もし何かあった時は在宅でも仕事ができる制度だ。
私にはきっとこの先、今まで経験したような、いいや、今まで以上につらく悲しいことが起きるだろう。悩みもたくさん出てくるだろう。
でも5年前、あのサイトに書いてあった
「今は不登校かもしれないが、その不登校児がいずれ社会に出た時、きっと多少なことなら1人で乗り越えていける」
というこの言葉を信じて頑張ってみようと思う
不登校でなにが悪い まる @marumaruchan
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