生まれ変わりの黙示録
天野真佐之
プロローグ
人から何かを奪うような人間には、何があっても、なるまい。
カンカンとけたたましく鳴る、踏切の警報音を耳にしながら、俺は自分に言い聞かせていた。
俺が踏切に立って、人生を粉々に吹き飛ばす巨大な鉄槌を待っているのも、俺から全てを奪っていった『あいつ』ら全員のせいなのだ。中学校に上がってから急に俺を無視し始めた『あいつ』ら。あの渾名をつけ始めたのは『あいつ』だっけ。それに同じ高校に進学して俺がいじめられていたことをバラした『あいつ』……
殺してやりたい気持ちは山々だが、俺にはできないことだ。人を傷つけたり、まして最も侵してはならない命に危害を加えるなんて、俺にはできない。
それを、『あいつ』らはいとも容易くやったのだ。
カンカンカンカン
死後の世界がもし、あるのなら。
カンカンカンカン
きっと俺はまた同じように奪われる側なのだろう。
カンカンカンカン
世界なんて、無いほうがいい。
カンカンカンッ
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