第3話 ゾルゲ事件・ソビエトの粛清関連
本編を書くにあたって一番資料を集めたのがゾルゲ事件とプロレタリア文学、演劇、ソビエト共産党関連でした。かの国は組織が目まぐるしく変わるので。
ゾルゲ事件関連
こちらはネットの資料やアーカイブの番組も豊富です。
『ゾルゲ事件・覆された真実』
…平凡社発行。新書 加藤哲郎・著
戦後、日本の共産党は日本人を当局に売り渡し粛清させた裏切り者を伊藤律とし、事実が明るみになるまで長らく濡れ衣をかぶせてきた。松本清張も信じたというこの濡れ衣事件を外国からの新資料で解き明かした良著。ゾルゲ事件をただのスパイ事件に終わらせない。
『モスクワで粛清された日本人・30年代共産党と国崎定洞・山本懸蔵の悲劇』
…青木書店発行・加藤哲郎・著
スターリンの大粛清で殺されたり収容所に送られた日本人の研究をしている著者の代表作ともいうべき本。ヨーロッパ、アメリカ、国内の夫々違う派閥に属するコミンテルン派の知識人たちが猜疑心と信条のぶつかり合いで相手を陥れていく様はものすごい緊迫感。戦前プロレタリア知識人の敵は特高だけではなかったのだなと気づかせてくれる。著者の加藤氏は一橋大学社会学部教授。専攻は政治学、比較政治、国家論。法政大学大原社会問題研究所の研究誌に論文として掲載されたものにゾルゲ等の関係性を加筆したもの。元論文は国立国会図書館の蔵書システムで複写以来可能。CiNiiでも可能。 https://ndlopac.ndl.go.jp/F/?func=find-c&ccl_term=001%20%3D%203278319&adjacent=N&x=0&y=0&con_lng=jpn&pds_handle=&pds_handle=&pds_handle=
『人間ゾルゲ』
…徳間書店発行。石井花子・著
文庫。来日したゾルゲの日本人の恋人として寝食を共にした女性・石井花子による非常に人間臭いゾルゲの評伝。共に暮らした人にしか書けないと思う、愛情と惜別に満ちた描写。冷徹なスパイというより結構豪快さんだったようだ。
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