第2話 ヘイムダルはいつも不機嫌
黒く大袈裟なヘッドフォン。カラスマスク。アシンメトリーな茶髪。
まるで絵にかいたような不良少女は不機嫌を隠さない。
「ああ、腹立つ。クソが。」
吐き捨てるような物言いは彼女が放つ銃声にかき消されていく。
「その乱射止めれば、良くなるんでない? いくら《感覚強化》でも、反動はどうしょもないしょ。」
少女の射撃訓練に付き合うのは中肉中背の男性。少し呆れ気味だ。
「その訛り、腹立つんだけど。」
少女は引き金をひくのを止めたが、男性に視線さえ与えず言い放った。
「うそだあ。訛ってないべ?だって、ちどってしょうじゅんごでしゃべってるしょや。」
おどける男性と不機嫌少女は対照的だ。銃口を男性の額に押し付ける。
「黙れよ。」
男性は驚く様子もなく銃を掴んで、少女からもぎ取った。彼女も抵抗したが、とてもかなわない。
ギラリと男性を睨み付けるが全く堪えていない様子である。彼は的に向き直ってその中心を射抜いた。
「短気は損気。いっつも言ってるべ、みちる?」
銃を台に置き、少女をなだめるため小さな肩に手を伸ばすが、振り払われる。
「コールサインで呼べ! ヘイムダルだ!!」
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