ラルシュレイ相談所

ニワトリ

プロローグ

　灰色に染まった空から、雨が降り注ぐ。

　崩れた木造の家が疎らに建つ死んだ町の辛うじて雨を凌げる場所でじっと膝を抱えている少年が一人。

　年は七.八歳ほどの小さな少年で、瞳にはその歳に不相応な程の憎悪が宿っている。

　少年は何も持っていなかった。

　家族も、金も、友人も、生きる権利さえ持っていなかった。

　寂れた町の人気の無い裏路地を転々と歩いてゴミを漁って食い繋ぎ、人に見つかれば殺される前に殺して生きてきた。

　人と、こんな世界を創った神を、人を呪いながら少年は誓う。

　――必ず、この世の中を潰してやる。と

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい