クドリャフカ・6

 気がつくと私はまた世界に一人だった。


 いつからだろう、新宿のあの公園にいた。

 だいぶ様変わりはしたけど、相変わらず薄汚れたコンクリートの長い顔が私を見下ろす。

 だけど以前程の疎外感や虚無感は感じない。

 今はここに一人でも、世界には受け入れてくれる暖かさが在る事を知っていたから悲しくは無かった。


 アレからどれ位の時間がすぎたんだろう。

 規律違反をしたあの日。

 チケット無断発行の禁止。

 チケット絡み以外の事で人に関わってはいけないのに関係の無い人を助けてしまった事。

 しかもその為に力を使った事。

 いくつもの違反を重ねて配達人としての権利を剥奪されたらしい。


 まるで契約が切れた事が目に見えるかのように、配達人としての姿ではなくなっていた。

 契約が執行される前の姿、只の野良犬だったあの頃の姿に戻っていた。


 朦朧とした意識。

 それでもフラフラと歩きだした。

 探さなきゃって、歩いていた。

 何を探してるのかも思い出せずに歩いていた。

 気がつけば車が目の前に迫っていた。


 違反をした私の契約が無効になってどんな力が働いたのかは知らない。

 罰なのかもしれない。

 もしかしたら何も無かったのに、ただ私が勝手に事故にあっただけなのかも知れない。

 とにかく私が車に轢かれて、今にも息が止まりそうなのは確かな事だった。


 契約が無効になるというのはどんな事なんだろう。

 あの事故の前に戻る?

 でも町の雰囲気は配達人になった頃ではなく、つい最近の記憶に近い。

 じゃあ今まで私が配達人としてやってきた事は無効になってしまっている?

 そもそも根本から、私の使ったチケットが無かった事になってしまうとか?

 それとも多少は功績を認めてくれて、ただ権利を失っただけなのか?

 色々考える事は出来たけど、それに意味が無い事に気づいてはいた。

 結局、実際のところ良くわからない。

 わかってるのは、この世界に私をかばってくれたおっさんはもういない事だった。

 そう、おっさんはこの世界にはいない。

 当たり前だ、おっさんはずっと前に死んでしまったから。

 私はおっさんの最後の願いを聞いたじゃないか。

 それを手伝えたじゃないか。

 でも、おっさんはもうこの世界にはいない。

 だから私はさっきの車をよける事はできなかったのかな。

 よける事をしなかったのかな。

 どうなんだろう。

 ごめんね、せっかくおっさんがかばってくれた命なのに。

 せっかく色んなステキな事を教わったのに。

 おっさんに助けてもらった私の命。

 おっさんの為にって始めた配達人だから頑張ってた。

 でもその役目も無くなって、おっさんがいない世界って気づいちゃったら体が動かなかった。

 生きていても結局おっさんに会う事ができないんだって思ったから。


 大きな音、鈍い響き、痛み。


 私は地面に横たわっていた。

 生暖かい血が私の毛を染めていた。

 気が付くと雨が降り、その血は赤い川の様に流れていった。

 あの時かばってくれたおっさんの代わりに私自身が事故に遭ったのかな。

 契約破棄になったツケを払ってるのかな。

 それなら望む処だった。

 配達人の権利を剥奪された事に文句は無い。

 むしろ私を可愛がってくれたエン先輩の辛そうな顔が一番応えた。

 そう、文句なんて無い。

 配達人になる事で、もう会えないと思っていたおっさんにまた会えた。

 おっさんの願いを叶えてあげる事もできた。

 私の願いは全て叶えてもらえた。

 なのに私はワガママだった。

 本当は抱きつきたかった。

 昔のように頭を撫でて欲しかった。

 でもそれをしたら私は配達人の権利を剥奪される。

 権利を失う事は構わなかったけど、おっさんの願いを叶えてあげられないのが嫌だった。

 だから我慢できた。

 おっさんの願いを叶えて、いつものあの笑顔で答えてもらえた。

 それで充分だった。

 充分だって思ったのに、まだ欲しがるなんて私も人間っぽくなったもんだね。

 チケットに感謝こそしても恨む事は何も無い。

 エン先輩も優しかった。

 言葉使いも配達人に相応しい様に一生懸命直した。

 おっさんの事が絡むと多少の違反もしてしまったけど、基本的に仕事はちゃんとしてきた。

 納得のいかない事でも、おっさんを助けてもらった事や先輩の恩に報いるためだと言い聞かせて頑張った。

 先輩だって好きでやってるんじゃないって知ってたから。

 昔公園で聞かされた愚痴は私に伝える為の仕事半分、本音半分だったんだろう。

 先輩の話しだと、配達人は私の様な野良から探している事も多いらしい。

 野良みたいに特定の人に情を持つでも無い存在から選んでるのかな。

 おっさんみたいに特定の人間に情を持っていた私は本当なら資格が無かったのかもしれない。

 とにかくこの仕事は知らない事だらけだった。

 あの力がなんなのかも、チケットがなんなのかも。

 神様が作ったのか、それ以外なのか。

 人の役に立つ事なのか、そうでは無いのか。

 選考の基準はどうなのか。

 でも、本当はどうでも良かった。

 私はおっさんの為に何かをしたくて配達人になった。

 私が好きになった人の為にって、頑張ってきた。

 おっさんがいなくなった後でも、仕事を続ける事でおっさんとの繋がりを感じれるから頑張ってこれた。

 こんな言い方したらおっさんに怒られちゃうかな?

 もっと素直に、色んな人の役に立ちなさいって。

 でも私は私の大事な事だけで精一杯だよ。

 ごめんね。


 エンさんが言うには、配達人になるものには、私の様に選択の余地が無い状況でチケットを渡される事が多いらしい。

 エンさんとしてはそういう強引さが好きでは無いとか。

 でも、理由は何であれ私は救われた。

 本当だよ。

 私にはそれで充分だった。

 だからこそ、おっさんとの約束だけでなく、その恩に報いようと頑張ってきた。

 おかしいよね?

 この私が“恩”なんて言葉を使うようになったんだよ。

 ”ありがとう”って言葉もね。

 その言葉を自然に言いたくなった時は暖かい気持ちがあふれてきたよ。

 おっさんが教えてくれた言葉だからかな?

 それともこの言葉自体が持ってる力なのかな?


 以前は他人の事なんてどうでも良かった。

 自分の事すらどうでも良かった。

 でもこの仕事をやるにつれ、他人の事でも、理不尽な出来事に嘆いたりもした。

 救いたくても救えない悲しみを知ってしまった。

 それなのに、絶望の中にも存在する希望や無償の気持ちを知ってしまった。

 理由は知ら無くても、受け継がれていく暖かさも。


 悩みの大きさは関係が無い事も知った。

 どんなに小さい事でも目の前にあれば視界がさえぎられる、それが全てになってしまう。

 でもどんなに大きな悩みでも距離をとって冷静にみれればなんとかできる。

 一人で無理な事でも二人なら、三人ならなんとかできる。


 当たり前の事なのかもしれないけど、対面して初めて知る事だらけだったよ。

 気が付いたら色んな人の優しさに囲まれていた。

 私はそれまで、生まれた時からずっと一人で生きてきたと思ってた。

 生きていけると思ってた。

 あの時までそうして来たつもりだった。

 でも、今はもうできないよ。

 自分を取り巻く優しさに気づかないでいられないよ。

 一人でいられないよ。

 一人が寂しくて仕方が無いよ。

 おっさんの為にって始めた仕事だったのに、何時の間にか他の人の事も助けたいって思う様になってた。

 世界中の人を好きになる事なんてできないけど、好きになった人のために何かをしたくてたまらないよ。

 おっさんはそれを喜んでくれるよね。

 不思議だね。

 繋がりが恋しいよ。

 今になって父さん母さんの事を考えるの。

 知らないまま行ってしまうのが惜しいって思ってる。

 私を捨てた存在なんてどうでもいいって思ってた。

 でも捨てたんじゃなくて何か事情があったのかもしれない。

 本当の事は知らないけど今はそう思う。

 それでいいんだって思う。

 色んな家族を見てきたからかな?

 おっさんの家族を見てきたからかな?

 家族。

 一つだけの心残り。

 私も家族になりたかった。

 おっさんは何度も誘ってくれたのに、私はずっと逃げちゃってたね。

 本当に欲しい物は後で気が付く事ばかりだね。

 それでも配達人の仕事を頑張ってきたんだよ。

 確かに違反はしちゃったけど、自分のしたい事だけじゃなく頑張ったんだよ。

 いっぱい頑張ってきたよ。

 だからいいよね?

 もういいよね?

 もう頑張らなくてもいいよね?


 おっさんの所に行ってもいいよね?


 雨が強くなってくる。

 なのに身体の感触が段々と消えていく。

 赤い川が段々と薄くなっていく。

 流れる血が無くなってきたのかな。

 もうすぐおっさんの所へいけるのかな。

 そしたらまた撫でてくれる?


「ダメ。貴方にはまだやらないといけない事があります」


 聞き覚えのある声がした。

 でもその声の主を探す力は無い、身体が動かない。

 声の主は私のそんな状態なんて気にしないで話を続ける。


「あなたが勝手に発行したチケットの責任をはたしてもらいます」


 どういう事なんだろう。

 酷いな、まだ何かしなくちゃいけないんですか?

 思わず笑ってしまいそうになる。

 もしかして、心配してきてくれたんですか?

 私は貴方を裏切ってしまったのに。

 なんだかんだ言ってお人好しなんだから。

 答えは聞こえ無かった。

 答えの代わりに人の気配があった。

 それが私に近づき、優しく触れる。


「!? ……大丈夫? すぐに病院につれていってあげるから……でも……どうしよう……。こんなに大きいと私だけじゃ運べない……」


 酷く慌てた声。

 聞き覚えのある女の子の声と匂い。

 雨にかき消されそうなのに、その匂いはとても心地が良かった。


「待ってて、すぐに人を呼んでくるから!!」


 あの子は……そうか。

 少しして、女の子は何人か連れて戻ってきた。


「うわっ、ひでぇ……」

「もう助からないんじゃない……?」


 男の子と女の子の声。

 私を覗き込んだ顔、皆学生位なのかな。


「お願い、一人じゃ病院につれていってあげられない。だから……」

「また始まった。先生見て無いんだし、いい事したって内申書かわらないよ?」

「そんなんじゃ……お願い! このままじゃこの子助からないから……!!」

「いや、まあ確かに可愛そうだけど、こんなでっけえ犬無理だよ……。なあ、そこの美術部たち?」

「えっと……。まあ……」

「ほら、コイツらも困ってっしょ? それになんか汚れてっし。雨も酷いしさ。今からじゃきっと間に合わないって。悪いけど無理無理。こういうのって警察に連絡すればいい?」


 そう言いながら1人、また1人去っていく。


「ごめんね……なんとかしてあげたいけど……」


 身体を、頭を動かすのがつらいから見ていないけど、皆行ってしまったみたいだ。


「ごめんね……。ごめん、どうしたらいいの……」


 残った女の子はうずくまる。


「ごめん……」


 謝らないで、あなたは悪くない。

 頑張ってくれたじゃない。

 躊躇わずに人を呼んできてくれた、自分の信じた事をしてくれた。

 私との約束を守ってくれたんだね。

 嬉しいよ。


「ごめんね……。少し我慢して」


 女の子はしばらく考え、意を決したみたいに私に触れた。

 そのままなんとか私を担ごうとする。

 無理しないでいいんだよ。

 あなたが動かすには私の身体は大きすぎる。


「いくよ……」


 ありがとう。

 私がした事に意味があったって判っただけで充分だよ。

 おっさんがしてくれた事を私もできたんだよね?

 だからもう、私の事は気にせず他の子に優しくしてあげて。


「ん……んぅ……!!」


 それでもなんとか動かそうと女の子は力を入れる。

 触れた手から、雨で冷えた私の身体に暖かさが伝わってくる。

 可愛そうに、あなたは翌々こういう場面に出くわしやすいのかな?

 それとも、先輩が連れてきたの?

 もしそうなら私の事に巻き込んでしまってごめんね。

 頑張ってくれてるのに傷つけちゃったね。

 ごめんね。

 絵はちゃんと描いてる?

 最後に会えて良かった。

 私は凄く嬉しいよ、だから落ち込まないで。

 でも、私も少し疲れたから。

 ごめんね。


「先輩。僕も手伝うから。一緒に病院まで運ぼ」


 不意に聞こえた男の子の声。

 どうやらまだ残ってる子がいたらしい。

 雨のせいもあって、近くにいないと気配も匂いも感じられなかった。

 本当に最後が近いらしい。


「大変かもしれないけど二人ならたぶん運べるし、僕が背負うから足を引きずらないようにしてあげて」


 そう言って男の子が近づいてきた。

 女の子を先輩って言ってる位だからクラスメイトじゃないんだろう。

 部活か何かの後輩かな?

 さっき美術部って誰かがいってた。

 それならこの子も絵を描いてるんだよね。

 おかしいね、こんな時なのに色んな事を考えちゃうよ。


「本当に? ……本当にいいの? でも服も汚れちゃうし……」

「大丈夫。汚れたら洗えばいいし。さ、急ごう」


 私に触れた男の子。

 ズボンからはみ出したキーホルダー。

 ずいぶんと古くなったキーホルダー。

 懐かしい匂い。


「がんばれ。すぐに病院につれていくから」


 ああ、ずるいよ。

 やっと頑張るのをやめれると思ったのに。

 おっさんの所にいけると思ったのに。

 この匂いのする人に頑張れって言われちゃった。

 もう頑張らないつもりだったのに。


「首輪が無い。飼い犬じゃないのか……?」


 男の子は一生懸命に話しかけてくれる。

 元気づける様に話しかけてくれる。

 息切れしながら話しかけてくれる。

 ごめんね、返事したくても言葉はもう喋れないの。


「野良だと病院で問題になる? 保健所の問題とか……」

「どうなのかな……」

「困ったな、わかんない。まあ、いざとなったら家で飼ってますって言えばいいか」


 不意の言葉。

 軽く言ってるはずなのに、私の心臓が強く弾かれた言葉。


「な、家の子になるか?」


 家。

 おっさん聞いた?

 家の子になるかだって。

 この子はおっさんと同じ事を言うよ。

 まだ私がどんなヤツなのかも知らないのに。

 おっさんと同じ匂い。

 おっさんと同じ暖かさ。

 おっさんと同じ言葉。

 ううん、只元気づけてくれようとしてるだけだよね。

 きっと私じゃなくてもそう言ってくれる。

 いきなりそんなの、本気じゃないよね。

 こんな状況だからだよね。

 それなのに……。


「大丈夫なの? お家の人は怒らない?」

「う~ん、たぶん大丈夫」


 それなのに嬉しいなんて。

 もうすぐ終ると思っていた世界が、あっという間に変わってしまうなんて。


「父さんが頑張って家を建てたけど、親子三人じゃ寂しいよねって。話てた」


 君はそうやって目に付いた全てのモノを救っていけるの?

 無理だよね?

 でも、それでも頑張っちゃうの?


「僕が世話をするって言えば、許してくれるよ。たぶん」

「ありがとう……私もできるだけの事する。だから……」

「うん。じゃあ、まずこの子の怪我を何とかしよう。病院わかる?」

「えっと……」


 体が軽いのは血が足りないから?

 心が軽くなったから?

 だって、今にも飛んでいけそうだよ。

 それなのにおっさんのところへ行っちゃダメなの?


「……そうだ! 最近知り合った人で犬の事に詳しい人がいるの。お医者さんじゃないんだけど獣医になりたいって勉強してて……」


 本当だね、おっさんの言うとおりだったよ。

 自分のした事は自分に還ってくる。


「先生って名前の犬を飼ってて……。だから犬の事詳しいかも。ここからすぐだから、その人ならなんとかしてくれるかも……!」「うん。それならまず手当てしてもらおう」

「すぐ呼んで来る!!」


 あの子が走りだす。


「すぐだから、頑張って!!」


 雨の中を傘も持たずに走っていく。


 でも、どうしたらいい?

 ずるいよ、こんなのどうしたらいいのかわからないよ。

 おっさんは、私が間違ってなかったって言ってくれてるの?

 でも酷いよ。

 まだ行っちゃダメなの?

 まだおっさんの処へ行っちゃダメなの?


「もうちょっと、もう少し我慢、な」


 私をゆっくりと地面におろし、これ以上濡れない様に傘とその小さな身体でかばってくれる。

 ううん、大きくなったね。

 あんなに小さかったのに、こんなに大きくなったんだね。

 そのまま顔を覗き込んだ男の子が言う。


「そんな顔するなって。な、元気だせ」


 違う。

 違うよ。

 こんな顔をしてるのは嬉しすぎるから。

 早くおっさんに会いたいのに、君達が引き止めてくれるのが嬉しいから。

 困ってる。

 困ってるのに、嬉しいから。


「大丈夫。家にいれるようにお願いするから」


 男の子が笑う。

 なんて笑顔するんだ。

 初めてみたのに、何処か懐かしい笑顔。


「なんとかなるって、な」


 おっさんどうしよう。

 早くおっさんに会いたいのに、まだ行けなくなっちゃうよ。


「どうした? 何か困ってるのか? 何かあるのか?」


 ある。

 あるよ。

 でも、そうだよね。

 人に頑張れっていっておいて、自分だけ楽しちゃダメだよね。

 自分で決めなきゃ。

 自分で動かなきゃ。

 でもどうしたらいい?

 何をすればいい?

 その時、目に付いた物。

 あのキーホルダーが地面に落ちていた。

 私を持ち上げようとした時に落としたのかもしれない。

 ボタンはまだ壊れたままなのかな。

 男の子は気がついていない。

 キーホルダーを咥え、一歩。

 懐かしい匂いの男の子へ向かって足を伸ばす。

 もう歩く事も辛いけど、せめてこの子の気持へたどり着きたい。

 答えたい。


「動いちゃだめだって……ん?」


 止めようと差し出された男の子の掌に、私の血がついてしまった。


「足跡ついちゃった。なんかハンコみたいだ……」


 そう、これは契約。

 私の契約。


「もしかして家族の証?」


 その差し出された男の子の掌に、キーホルダーを置く。


「これ……落としちゃってたのか。ありがとうな」


 男の子が笑う。


「家にはいれないところだった。これで一緒に帰れる」


 男の子が笑う。

 さっきよりも、もっとまぶしい笑顔で笑う。


「ありがとうな」


 やっと届けられた。

 あの日ちゃんと手渡せなかったキーホルダー。

 私が望む世界への鍵。


「じゃあこれで成立」


 これが私の契約。

 私が望む世界への約束。


「いい子だ」


 男の子が頭を撫でてくれた。

 おっさんと同じ匂いがする手で撫でてくれたよ。


「よしよし、いい子だ。今から家族だ。な」


 どうしよう。

 まだそっちにいけないよ。


「早く元気になれ。一緒に帰ろう」


 だって、おっさん、私ね


 しあわせだよ。

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クドリャフカ 伊藤全 @zen_itou

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