第6話 ルール


「リスナーはこのラジオを聞いている子達の事だよ。」

ユイは黙ったままだったが、少ししてユイは答えた。

「ユイ全然知らない…何なの?」

「終わりラジオって知らない?」

「それ、学校で友達が言ってた」

友達では無かった。本当は全然話した事も無いクラスメイトだった。


「ネットに書いてあるよ。他にもこのラジオ持ってる子がいて、確か8番って名前の アカウントだったかな。」

「へえ…都市伝説とかはあんまり興味ないから」

知子は話を続けた。


「終わりラジオにはルールがあってね、まず家に番号が書かれたシールを貼った

 ラジオがあったら必ず毎日聞く事って始まりでね。」

「世界の終わりに助かる方法を教えてくれるって書いてあったの。

 ルールの順番は ちょっと覚えて無いから、覚えている順で話すね。」


知子はラジオの番号「12」をユイに見せた。

ユイも自分のラジオのシールをもう一度確認した。番号は2と書かれていた。


「ユイちゃんは2番なんだね」


「でね、まだ本当の世界の終わりじゃないの。また大きな災難が来るみたい。

 1回目は終わったけどまたもっと酷い災難が来るって。」


「それが本当の世界の終わりだってさ」


ユイは頭が混乱していたが、ふと地震の夜の事を思い出した。


「あれ、行きたければじゃなくて、生きたければって事だったのか…」

 知子は、ん?とまた首を傾げた


「ユイも地震の時に息を止めなさいって言われたから息を止めたの!」

「ああ…3日前のやつ?」

「うん。」


ユイはまた自分のラジオを見た。


「……うんうん、そう絶対ラジオが助けてくれたんだわ。」

「ユイちゃん…でね、この終わりラジオにはまだ次のルールがあるの。」


知子はラジオの電源を入れた。知子のラジオも古いタイプのラジオだった。


カチッ

『ザー……ザザ』


相変わらず電波が弱いのかラジオから声は聞こえなかった。


「ユイもさっきそうなったよ、いきなり聞こえなくなったの」

「違うの、これはルール2なの。」

知子はそう言ってラジオの電源を落とした。


「リスナー同士が近くにいるとラジオに雑音が入って聞こえなくなっちゃうの。」

「え、そうなの?」


確かに、さっきラジオが聞けなくなったのは近くに知子が来たからだと

ユイはその時気付いた。


少し間が空いてユイが言った。

「じゃあ、どっちかのラジオを捨てて、どっちかをつけて2人で行こう」

ユイは自分のラジオを地面に置いた。


1度はユイの顔を見て笑顔になったが、知子は下を向いて首を横に降った


「え、ともちゃん。どうして?」


知子はユイの顔を見て第3のルールを話し出した…

「このラジオ、個別に電波を流しているから、

 それぞれパーソナリティと内容が違うみたいなの。」


「えっ!個別にって、どう言う事?」


「ユイちゃんのラジオはどんなパーソナリティの人?」


ユイはパーソナリティの意味が分からなかったが、何となくラジオで話している女性の事だと分かった。


「優しい声の女の人だよ。」


知子はそれを聞いてビックリした様子だった

「やっぱり本当なんだ…あの噂って」

「私はおじさんのパーソナリティ…」


知子はまだ終わりラジオの内容を全部信じていなかった様子だったが

ユイから聞いたパーソナリティの相違を目の当たりにし、表情が険しくなった。


「ともちゃん、どうしたの?」

ユイが心配そうに尋ねる。


知子はユイの顔を見つめ、急に穏やかな表情になった。

ユイはその表情を見て、この子は全て分かったのだと確信した。


「ううん、何でもない」

と言って最後のルールをユイに話すのだった…




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